「罰金とり」に躍起になる交通警察 警察車両が車道を逆走して多重事故にも=中国 アモイ

2023/07/09
更新: 2023/07/09

中国の地方政府は今、深刻な財政難のなかにある。その地方政府の傘下にある公安・警察部門も、例外なく「金がない」状態だ。

そこで収入を増やすため、交通取締まり部門が全力で進めているのが、鵜の目鷹の目になって交通違反の理由をつけ、ささいな事にも罰金を科す「公務執行」である。

ところが、この「罰金とり」に躍起になるあまり、なんと警察車両が事故を起こす例が中国の各地で多く見られている。

今月3日夜、福建省厦門(アモイ)市の橋の上で交通取締まりにあたっていた地元の交通警察の車両が、車道を逆走したため、複数の貨物車両の追突事故につながった。その際、交通警察官1名が、通行してきた車両に轢かれる事故も起きた。新唐人(NTD)テレビ4日付が報じた。

SNSに投稿された動画では、交通警察の車両のちかくで、交通警察官1名が貨物車の前輪の下敷きになっている。その顔は血だらけで、体の下にも血だまりができていた。

この貨物車の運転手と思われる男性に対し、現場にいた他の車両のドライバーが「あの交通取締車両は車道を逆走した。しかも橋の上で車両を停止させる行為は違法だ。必要であれば証人になるよ」と話しかけている様子も動画に収められている。

このような交通部門による「危険な職務執行」が招いた事故は、中国各地で多発している。

今年4月、南京市の交通警察官2名が、なんと「トンネル内」に検問所を設置して通行車両を止めようとしたところ、トンネルを通行してきた車両によって跳ね飛ばされる事故が起きている。

この事故は一時、中国SNSウェイボー(微博)のホットリサーチ入りし「罰金とるのも命懸けか」とする非難が殺到した。

「命懸け」なのは南京の交通警察だけではない。今年5月、浙江省紹興市の交通警察の中隊長であった陳永虎氏は、明け方に検問所を設置して通行車両を止めようとしたところ、跳ねられて死亡した。

SNSなどに投稿された動画のなかには、停車が違法である「橋の上」のみならず、たとえそれが「暗いトンネル内」であろうが、急に停車することなどできない「高速道路上」であろうが、かまわずに検問所を設けて、職務執行という名目の「罰金とり」をしようとする無謀な交通警察の姿が多く見られる。

いろいろある車種のなかでも、大型貨物車への罰金額が最も高い。「強盗」とまで比喩されるようになった交通警察に対抗するため、集団で検問突破する大型トラック集団まで現れている。

先頭を走る大型トラックが、まず交通警察が設置した検問所を強引に走り抜けるなどして突破した後、後続のトラックが次々と通過するという、まるで映画のような場面を映した動画もネット上に投稿されている。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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