コロナ変異株めぐる連日報道に、トランプ氏「恐怖煽っている」「郵便投票の正当化が狙い」

2023/09/01
更新: 2023/09/05

米国のドナルド・トランプ前大統領は先月30日、来年の大統領選挙を控え、共和党支持者の間で不信感が強い郵便投票などの投票制度の正当性を強調するため、政府やメディアなどが新型コロナウイルスの新たな変異株の恐怖を煽っているとの見方を示した。

トランプ氏は先月30日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」に投稿された動画の中で、自身の発言が「新型コロナウイルス感染症に関する予防措置を取ることを口実に、来年の大統領選挙への不正介入を図る人たち、すなわち新型コロナをめぐる『暴政』への警告となるべきだ」と指摘。

「左派の狂信者らは、来たる新型コロナの変異株について突然恐怖を煽り、コロナ禍のロックダウンおよび(各種の)義務化を復活させようと懸命になっている」と語った。

新型コロナウイルスの変異株の感染拡大について連日のように報道されるなか、バイデン大統領はこのほど、米国民全員にコロナワクチン追加接種を促す可能性があると述べた。

トランプ氏は動画の中で、政敵は政治的目的のために新型コロナウイルス感染症の「ヒステリー」を利用しようと躍起になっていると述べた。

「彼らは新型コロナのヒステリーを再開させ、2024年の選挙に向けて、さらなる封鎖や検閲、違法投函、郵便投票、そして政治的盟友への何兆ドルもの献金を正当化したいのだ」と自身の見方を示した。

また「彼らは2020年の選挙を不正操作し、そして現在、米国史上最も重要な選挙である2024年の選挙を不正操作するため、たとえ新型コロナウイルスを復活させることを意味するとしても、同じことを繰り返そうとしている」と述べた。

トランプ氏は、郵便投票に関する規制が撤廃されるなど投票制度が選挙前の土壇場で改定され、選挙不正が行われやすい状況になり、2020年の大統領選挙で勝利を奪われたと考えていると述べた。

トランプ氏は選挙関連の訴訟でほぼすべて敗訴したが、その敗訴した理由は、法的な異議申し立てが遅いために権利主張が許されない「懈怠の原則」など手続き上の理由で却下された事例が多い。

“コロナ暴政”に「我々は従わない」

保守派の多くは、ここ数週間で新型コロナウイルス関連の報道が急増しているいっぽう、市民の自由および次期選挙への新たな規制が設けられる可能性があることに懸念を示している。

ターニングポイントUSAの創設者チャーリー・カーク氏は、「コロナ暴政」を推し進め、「選挙に合わせて再び封じ込め」「マルクス主義型の革命」を起こそうする陰謀があるとの見解を示した。

ロン・ポール元議員が米国のオピニオンサイトに寄せた寄稿文では、変異株がもたらすとされる脅威は「ちょうど選挙シーズンに間に合うように」メディアによって盛んに報道されたと述べた。

変異株の恐怖を煽るのは「権力を得るための武器だ」とポール氏は指摘している。

「前回、彼らは恐怖心を煽り、米国の投票方法を根本的に変えた。突然、全員に投票用紙が郵送された。どの程度厳密にチェックされたのか? 誰も知らなかったし、聞く勇気もなかった」

「またやるから黙っていろというんだ。そうだろう?」とポール氏は述べた。

こうした「我々の自由を奪おうとするコロナ暴政」 に向けて、トランプ氏は動画の中で、「この言葉を聞いてくれ、我々は従わない!」と断言し、そのうえで「我々は学校を閉鎖しないし、ロックダウンを受け入れないし、マスク義務化にも従わないし、ワクチン義務化も容認しない」と述べた。

トランプ氏はまた、自身が当選したら、大統領の権限によりマスクやワクチン接種の義務化を撤回させ、義務を課している大学や航空会社に提供している連邦資金の額を削減することを表明した。

米国人全員にワクチン接種促す

米国では入院患者数が増加傾向にあることが懸念を集めているなか、ファイザー社、ノババックス社およびモデルナ社など複数の製薬大手が先月、秋に提供開始を見込む次期ワクチンがオミクロン株の新たな派生型「EG.5(エリス)」に対し有効性があることが示されたと発表した。

バイデン氏は25日、カリフォルニア州で記者団に対し、新型コロナワクチン開発への資金援助の増額を要請したことを明らかにした。

「今朝、議会に提示すべき提案、つまり新しいワクチンへの追加資金の要請に署名した。これは必須であり、効果がある」と述べた。

「まだ最終的には決定されていないが、暫定的に、以前に接種したかどうかに関係なく、全員がワクチンを接種することが推奨されており、推奨される可能性が高い」と語った。

米疾病予防管理センター(CDC)の職員が最近記者団に語ったところによると、新たなワクチンは9月中旬には一般に提供可能になる見込みで、現在、食品医薬品局(FDA)の承認待ちの状態であるという。

CDCの独立諮問委員会は今月12日に会合を開き、新たなワクチンの接種に関する推奨ガイドラインについて投票する予定だ。
 

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。
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