「給料くれなきゃ、飛び降りるぞ」 ビル屋上に座り込む労働者たち=中国

2023/12/25
更新: 2023/12/25

「給料を払ってくれ。さもなければ飛び降りる」。そう言って、ビルの屋上に座り込む労働者たち。

彼らは、本当に死にたくて屋上にいるのではない。きちんと働いた分の給料をもらって、親や家族を養い、最低限の生活をしたいだけだ。しかし、もらう権利があるはずの給料が、すでに何か月も支給されていない。

それがただの演技ではなく、本当に飛び降りて自殺してしまうケースもある。それほど彼らは、どうにもならない絶望感に追い詰められているのだ。

今月18日に広東省深センで撮影されたという動画のなかには、男性2人がビルの屋上に座り込んでいた。

「畜生。今は給料をもらうのに、なんでこんなに難しいのか」「(給料が出なければ)もうどうしようもない。ビルから飛び降りるしかない」。動画のなかには、そう話す男性の声が入っていた。

動画に添えらえた説明文には「中建一局が労働者に給料を支給しないため、追い詰められた2人の労働者が、ビルの屋上に座り込んで給料の支払いを求めている」と書かれている。

なお「中建一局(中国建筑一局集团有限公司)」と言えば、中国の中央企業(政府の管理監督を受ける企業)である「中国建築集団有限公司」傘下の子会社である。

 

 

また、今月13日に広東省で撮影された動画のなかにも、ビルの屋上に複数の労働者が座り込む姿があった。

動画の説明によると、「湛江京信電廠が、労働者に給料を支給しない。そのため、追い詰められた労働者たちがビルの屋上に座り、給料の支払いを求めている」という。

 

 

いま中国の企業には、それが製造業であれ建設業であれ、全くといってよいほど受注がない。つまり、企業が経営できていないことが、給料未支給の直接的な原因である。

こうなると、最も立場が弱い末端の出稼ぎ労働者は、まっ先に切り捨てられる。ただし、そうして一部の従業員を賃金カットしたところで、企業の経営が立て直せるわけではない。前途には、もはや絶望しかないのだ。

中国経済が、実質的に崩壊していることは疑いない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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