深刻な経済不況のなか、北京、上海、広州、天津、成都など中国各地で失業者や社会の底辺に生きる人たちのために「無料で食事を提供する」など、愛の手を差し伸べる料理店がぞくぞくと現れている。
例えば四川省成都市の地下鉄駅近くにある小さなラーメン店では、入り口に大きな赤い看板を置いている。そこにはこう書かれている。
「もしいまあなたが困っていたり失業中だったらどうぞ店に入って無料のラーメンを食べて行ってね」
日雇い労働者や配達員、町の清掃員、失業者たちが店を利用しているという。
店主の黄明さんは中国メディアの取材に対し、「無料の食事を食べにくるお客さんはどんどん増えている。以前は一回きりのお客さんがほとんどだったが、いまでは長い間仕事を見つけられない人がリピーターになっている」と明かしている。
一部の店は「受給者」の自尊心を守るために、「1番の麺」、「世間定食(中国語:江湖套餐)」など様々な暗号まで決めているのだそうだ。何も言わなくてもよい、このような暗号で注文すれば、「お会計は不要」になる。
中国メディアによると、困っている人たちに無料の食事を提供している飲食店のオーナーのすべてが、裕福だというわけではないそうだ。借金まみれのオーナーも少なくないという。
そこで、一部のメディアは、現地政府に対し、「困った人たちに無料の食事を提供する飲食店に何らかの資金援助をするよう検討してほしい」と声を上げているが、今のところ政府からの正式な回答はまだない。
(「無料の食事」を提供する場面)
困っているのは失業者だけではない、いまやどこの地方政府でも深刻な財政難にあえいでいる。地方政府は「罰金経済」や「遠洋捕獲」などの「誠実でない手段で利益を得ようとしている」と批判殺到の方法を使ってまで、財政の穴を埋めている現状がある。
いまでは北京の一部の区でも、公務員の給与支払いを借金に頼っているとも報じられている。
なお、「遠洋捕獲(中国語:釣魚執法)」とは、貧しい省の公安部門が「事件捜査」を口実に、経済が発達している他省へ赴き、権力を濫用して、個人や企業に濡れ衣を着せ金を巻き上げるやり方で、中国の社会問題にもなっている。
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