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補助金か?関税か? 欧州と日本で異なる中国EV輸入対策 議員から疑義=衆院内閣委員会

2025/04/30
更新: 2025/04/30

4月23日の衆院内閣委員会で、政府による電気自動車(EV)などエコカーの購入補助金を、中国メーカーの自動車にも適用している現状について、立憲民主党の藤岡隆雄衆院議員が異論を唱えた。藤岡氏は「日本国民の税金を日本の産業振興に充てられるように、補助金の仕組みを徹底していくべきだ」と主張し、中国の大手EVメーカー・BYDなどに、補助金が流れている現状を問題視した。

経済産業省の大串正樹副大臣は「補助金は自動車メーカーに対してではなく、ユーザーが購入費用の一部を補助する制度であり、海外メーカーの車両も、日本国内で登録されたものは対象になる」と説明。この制度はカーボンニュートラルの実現を目指し、消費者が電気自動車やプラグインハイブリッド車などを購入する際の費用を、一部補助するもので、2024年度以降も継続される見通しだ。 

BYDの電気自動車は、2024年に日本で2223台販売され、前年(2023年)の1446台から約54%増加しており、販売台数としては伸びているものの、月平均では185台程度と依然として低調な水準にとどまった。また、日本のEV市場全体が2024年は前年比33%減と縮小傾向にあり、BYDもその影響を受けた。

一方で、EUは中国製EVの急増に対して、厳しい対応を取った。EUは2024年10月30日から、中国から輸入されるEVに対し、既存の10%の関税に加えて最大35.3%(一部報道では最大45.3%)の追加関税を課すことを決定。EUの執行機関である欧州委員会は、中国製EVが中国政府から不公正な補助金を受けており、ヨーロッパの自動車産業に損害を与えた恐れがあると判断した。この措置は、原則5年間続く見通しで、EUは、中国側と交渉を継続する方針も示した。

EUがこのような強硬策に踏み切った背景には、中国からのEV輸入が、2020年から2023年の間に1646%増加し、2023年にはEUのEV輸入全体の約半分を中国製が占めるまでになったことである。中国メーカーは、政府からの手厚い支援を受けており、EUは「公正な競争」を確保するために関税強化に踏み切った。

日本の補助金制度は、車両の性能や充電設備の整備状況などによって、補助額に差をつける仕組みを2024年度から導入し、中国BYDの補助額は、前年の最大85万円から35万円に減額されたが、制度上は引き続き対象となった。

EUではさらに、フランスなど一部の国で、EV購入補助金の対象から中国製車両を除外する動きもみられた。また、EUと中国は、関税に代わる「最低価格制度」の導入についても協議を進めていると言う。

このように、日本とEUでは中国製EVへの対応に大きな違いがある。日本は、消費者の選択を重視しつつも補助額の調整で対応しているのに対し、EUは国内産業保護の観点から関税強化という強硬策を選択した。今後も各国の産業政策や国際関係の動向に対して、注目度が高い。

エポックタイムズ記者。大学では地理学を専攻。主に日本の時事について執筆しています!