公式には「終息宣言」したはずのコロナだが、市民の現場感覚では感染は続いている。
大型連休(メーデー、5月1~6日)を終えた中国各地の病院に再び発熱・呼吸器症状を訴える患者が殺到し、中国疾病予防管理センターの最新データ(5月8日公表)でも「新型コロナ」が複数週にわたって、急性呼吸器感染症の首位を占めた。
各地市民の証言によれば、一部地域では、火葬場が満杯になるほどの「病死」や「突然死」が爆増したが、当局は死亡者急増の事態を公式には一切認めず、「基礎疾患」や「高齢によるもの」として処理した。
ネット上には病院内の混雑や点滴患者で溢れかえる様子が多く投稿され、また「新型コロナという言葉に触れてはならない空気が医療現場を覆っていた」との指摘も多い。

中国SNSには、病名も告げられないまま急死したという市民の嘆きがあふれ「後遺症で死んでも、それがコロナのせいだとは誰も口にしない。口にすればトラブルになるからだ」とある市民は語った。
しかしながら、こうした感染再拡大のゆゆしき状況や病院での大混乱、火葬場の長すぎる順番待ちといった「不都合な真実」を報じるメディアはなく、どこにも「コロナ」という言葉は登場しないのだ。
代わりに報じられるのは、観光地の活況や経済の持ち直しだ。
観光をよくしよう、経済を回復しよう──その一心で、当局は、再拡大するパンデミックを「存在しないもの」として扱っている。
国民の命など顧みない。いや、これまでも顧みたことはなかった。優先されるのは常に、政権の安定と経済の数字だ。それは疫病が流行しようと、病院が崩壊しようと変わらない。
そうして「平和で繁栄」の幻想の陰で静かに人が倒れていた。命の重みをこれっぽちも感じない統治のもとで、見えない死者の列は今もなお静かに延びてゆくのだ。
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