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激変する中国 泣き叫ぶ労働者、沈黙する政府。橋の下に追いやられた「中流層」たち。

地方政府まで「工事代金」を踏み倒す 壊れゆく中国【動画あり】

2025/05/14
更新: 2025/05/14

「美しい中国」は虚像だった。政府すらカネを払わない現実に、希望は残っていない。

「まさか政府に、踏み倒されるとは…」建設会社を営む韋(ウェイ)さんは、疲れ切った表情でそう語った。

中国各地では今、「工事代金を政府が払わない」という異常事態が常態化している。

地方政府や国有企業が資金難を理由に支払いを拒み、倒産や生活崩壊に追い込まれる業者が続出している。

2025年3月、中国の行政機関「国務院」(※日本の内閣に相当)は「未払い債務の迅速な清算」をうたう新方針を発表したが、現場の経営者や労働者は、誰も希望を抱いていない。

給料や代金の支払いを求めて声を上げた者は、警察に連行され、投稿は検閲で削除され、抗議は暴力で鎮圧される、それが今の中国だからだ。

 

破滅へと追い込まれた業者の声

以下にエポックタイムズ姉妹メディア・NTD新唐人テレビが行った中国本土の建設業者に対する取材内容を、一部抜粋し紹介する。

広西省で、公共工事を請け負った建設会社社長の韋さんの場合、地方政府から約2億円の代金を4年間も支払われなかった。彼は、政府からのプロジェクトをやるにあたって友人や親戚から多額の借金をし、家も担保に入れた。だがいくら待っても支払いはなく、労働者に払う給料もなく、借金返済の見込みも立たない。結果、自分だけでなく、周囲の人々の生活までも崩壊させてしまった。

湖北省で、国有企業の道路工事を請け負った谷さんの場合、「国の名で契約した仕事だから安心して全財産を注ぎ込んだが、それが罠だったと気づいた時には、もう遅かった」と嘆く。1年経っても工事代金は払ってもらえず、正義や救済を求めて訴訟を起こしても、その前に立ちはだかったのは、「政府が相手では誰も勝てない」という厳しい現実だった。

「約16億円の工事代金を踏み倒された」と訴える広東省広州市の許さんも「法で対抗しようとすると、『相手は政府、勝ち目はない』と弁護士から説得されるだけ」と匙を投げた。

 

 

こうして日々、賃金を求める市民たちが、工事現場や役所の前で道路を塞ぎ、抗議の声を上げた。しかし、待っているのは解決ではなく弾圧だ。

SNSに投稿された動画には、「お願いです、子供に食べさせるごはんもないんです!」と、女性労働者が雇い主に跪き、泣き叫ぶ姿が映っていた。

 

(国営企業の門前で給料の支払いを求めて跪く労働者の女性、2024年11月19日、江蘇省連雲港市灌雲県)

 

かつて「中流」と呼ばれた人々も、いまや橋の下で寝泊まりし、出稼ぎ労働者とともに寒空の下で体を寄せ合っていて、家も、職も、希望も奪われ、声を上げれば命さえ危うい国──それが今の中国のリアルだ。

日本のテレビに映る「美しく繁栄する中国」の裏には、こうした現実がある。どうしてこの国は、ここまで壊れてしまったのか、そう問わずにはいられない。

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!