20日、国連総会で北朝鮮の人権問題に関する特別会合が開かれ、脱北者2人が証言を行った。
脱北の証言を行ったキム・ウンジュ氏は、父親が餓死し、生き延びるために母親と姉の3人で11歳の時に中国に逃亡したと語った。中国では1人300ドル(約4万3千円)以下で売られる人身売買の被害に遭い、姉が性的虐待を受けたと述べた。
一方、北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は登壇した脱北者2人に対して非難し、証言は「でたらめに基づく政治的演出だ」と批判した。読売新聞が報道した。
米国務省は昨年6月、2024年版の『人身売買報告(2024 Trafficking in Persons Report)』を発表した。報告は各国が人身売買を防止・撲滅するための取り組みに対して、アメリカ政府がどの程度基準を満たしているかを判断して決定され、中国は最悪の評価である「(Tier 3)」に格付けされた。中国は2017年から8年連続でのTier3格付けとなる。
評価の基準は、以下のとおりである。
Tier1:人身売買の撲滅に向けた最低基準を完全に満たしている国
Tier2:最低基準を完全には満たしていないが、基準達成に向けた相当な努力をしている国
Tier3:最低基準を満たしておらず、その達成に向けた努力も十分に行っていない国
Tier3に分類される要因としては、国家ぐるみによる強制労働や性的人身売買などの人権侵害や、法整備の不備、国際的な協力の欠如、被害者の保護対策が不十分である事、加害者の摘発・処罰を行っていないことが挙げられる。
米国務省の報告書は、中国の人身売買防止対策が不十分であると指摘しており、特に新疆ウイグル自治区での強制労働や少数民族に対する人権侵害が問題視されている。また報告書は中国当局が「特定の団体」に対して強制的に臓器摘出する犯罪に関与していると指摘している。
一方、中国政府はTier3に分類されたことに対し、報告書の内容を否定し、国内法と国際基準の遵守を強調している。
今後、国際社会との対話と協力が求められる中で、中国の人身売買防止対策の改善が期待される。
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