中国・雲南省で2023年8月、8歳の女児・王思竣(おう・しじゅん)ちゃんが病院での不可解な死を遂げた。遺族による告発は当時、中国のSNSで大きな波紋を広げ、特に彼女が「パンダ血」と呼ばれる稀少な血液型だったことから、「臓器狩り」被害の疑いがネット上で急速に拡散された。
事件の発端は、王思竣ちゃんが親戚の通院に同行し、雲南省紅十字会医院を訪れたことだった。医師の勧めで「健康診断」を受けると、突如「重い病気」と診断され、「治療できるのは当院だけ」と強く入院を勧められた。以降、彼女は毎日長時間にわたり点滴や処置のために病床に縛りつけられ、退院も許されなかったという。
母親の証言によれば、急死の1時間前までは元気だった娘が、「足から大量に血を抜かれた」と怯えて話していたという。しかし1時間後、少女はなぜか入院先の小児科ではなく腎臓科の病床で息を引き取った。

ICU面会は拒否され、家族がドアを蹴破って遺体に対面するまで、病院側は一切の説明を拒んだ。さらに死亡後には、カルテの提示を拒否した上で、「臓器提供同意書」への署名を迫ってきたという。
家族が公開した司法解剖報告書には、「パンダ血(Rh陰性型)」であること、死因が「失血性ショック」であること、体内から抗凝固剤が検出され、身体には複数の注射痕が確認されたことが記されていた。

当時、王思竣ちゃんの死は「臓器目的で狙われたのではないか」と中国国内で大きな反響を呼んだが、当局は病院を擁護し立件を拒否。関連するSNS動画や告発投稿は次々と削除され、事件は「強制的に沈静化」された。
(王思竣ちゃんの母親による告発)
しかし、2025年春になって、ネットユーザーやインフルエンサーによる必死のシェアの結果、事件は再び注目を集めている。もっとも、今回の動きも例外なく当局によって封殺され、関連コンテンツはすでに大半が削除済みだ。
遺族は今もなお、「真実を知りたいだけだ」と訴え続けている。「私たちは昭通市の農村出身で、何の後ろ盾もない。事件当時は何の疑いもなく、無条件に病院の医師の言うことに従っていた」という母親の言葉は無数のネットユーザーの心に突き刺さった。
命を守るべき病院が、命を狩る場所になっていたとすれば、それは病院に助けを求める人々にとって最大の裏切りではないか。
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