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セブン&アイ 初めての外国人社長承認

2025/05/27
更新: 2025/05/27

セブン&アイ・ホールディングスは2025年5月27日、東京都内で定時株主総会を開催し、スティーブン・ヘイズ・デイカス氏(64)の社長兼最高経営責任者(CEO)就任を含む13人の取締役選任案など全議案を可決した。デイカス氏は同日付で正式に社長に就任。カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタール(ACT)からの約7兆円の買収提案への対応と、国内外コンビニ事業の立て直しを加速させる。

日米の小売で実績豊富なリーダー

アメリカ出身で日本語堪能なデイカス氏は、日米の小売業界で豊富な実績を持つ。2011~15年の西友CEO時代には、6期連続の増収増益を達成。M&Aやネットスーパー展開でも手腕を発揮した。ファーストリテイリングでは海外ユニクロ事業を統括し、グローバルブランドの基盤構築に貢献。スシローグローバルホールディングス会長としてアメリカ進出を支えるなど、国際展開の経験も豊富だ。

2022年からセブン&アイの社外取締役、2024年4月から筆頭独立社外取締役、5月28日からは取締役会議長を務め、ACTの買収提案を検討する特別委員会の委員長として交渉を主導。日米の小売文化への深い理解と調整力が評価され、グローバル経営を牽引するリーダーとして選ばれた。

買収提案と収益低迷への対抗

2024年8月、ACTから約7兆円の買収提案を受けたセブン&アイは、企業価値の過小評価やアメリカ独禁法の課題を理由に拒否したが、交渉の余地を残した。創業家のMBO(マネジメント・バイアウト)が資金難で断念された後、単独経営の維持と株価引き上げが急務に。デイカス氏は2025年5月にACTと秘密保持契約(NDA)を締結し、財務データの開示を進めつつ、友好的交渉を維持。イトーヨーカ堂を傘下とするヨーク・ホールディングスの売却(8147億円)、北米子会社の上場(2026年下半期予定)、2兆円規模の自社株買いを推進し、企業価値向上に注力する。

一方、2025年2月期決算では課題が浮き彫りに。国内コンビニ事業は原材料高や消費の二極化で6.8%減益、海外はアメリカでのインフレや節約志向で28.3%減益となり、本業の収益力が低下。

デイカス氏は国内で低価格商品の展開「うれしい値」を打ち出し、惣菜強化による客数回復、海外で店舗売却(最大2千店舗)や自社ブランド強化を打ち出し、収益改善を目指す。

グローバル化で新時代を切り開く

デイカス氏は2025年4月の決算説明会で「南米や欧州への店舗網拡大」を掲げ、セブン-イレブンの8万5500店舗(2024年時点)を基盤にグローバル競争力を強化。「スピードを改善し、競合に打ち勝つ」と強調し、迅速な意思決定と実行力を軸に変革を進めている。

 

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。