自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党、無所属議員による衆院会派「有志の会」の5党派は、6月12日に開かれた衆議院憲法審査会の幹事会で、災害や感染症の流行、武力攻撃、内乱などの緊急時に国会議員の任期を延長できるようにする憲法改正の骨子案を初めて提示した。
この骨子案は、国政選挙が広い範囲で長期間にわたり実施できないと内閣が認定し、国会の事前承認を得た場合、議員の任期を延長できるとする内容である。任期延長の期間は、選挙が実施できるようになった時点で速やかに選挙を行い、その前日までとされている。また、非常時が収束していなくても、選挙が可能となれば国会の決議により選挙を実施しなければならないとされている。
この案は、東日本大震災のような大規模災害や新型コロナウイルス感染症のようなパンデミックなど、従来の制度では十分に対応できない事態を想定し、国会の機能を維持するための措置としてまとめられた。5党派は、今後さらに具体的な条文案の作成に向けて議論を進める方針を示している。
一方で、立憲民主党などは現行の公職選挙法による投票日の繰り延べや、インターネット投票の導入、避難所での投票の実現などで対応可能だと主張し、憲法改正による任期延長には慎重な姿勢を示している。参議院自民党内でも、現行憲法に規定された「参議院の緊急集会」制度を重視し、衆議院自民党との間で温度差があることも報じられている。
今回の骨子案提示は、今秋以降の国会での本格的な議論の起点となる見通しであるが、与野党や衆参両院、さらには世論を巻き込んだ慎重な議論が求められる。
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