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USスチール買収計画 トランプ大統領がパートナーシップ承認

2025/06/14
更新: 2025/06/14

アメリカのトランプ大統領は13日、日本製鉄によるUSスチールの買収計画について、両社がアメリカ政府と国家安全保障協定を締結したことを受け、大統領令を発出し「パートナーシップ」を承認したと発表した。これにより、昨年バイデン前大統領が安全保障上の理由で出していた買収禁止の大統領令が修正される形となった。

今回の大統領令では、買収計画の承認には国家安全保障協定の締結と、その遵守が必須条件であると明記されている。トランプ大統領は「国家安全保障上の脅威は、特定の条件を満たすことで十分に軽減される」と述べ、条件付きでの買収容認の立場を示した。また、今後も安全保障上必要と判断される場合には、追加の命令を出す権限を持つとしている。

両社がアメリカ政府と結んだ国家安全保障協定には、アメリカ政府がUSスチールの「黄金株」(ゴールデンシェア)を保有することが盛り込まれている。黄金株とは、取締役の選任や経営上の重要な決定に対して強い拒否権を持つ特別な株式であり、アメリカ政府が経営に対して強い影響力を持つことになる。トランプ大統領は「黄金株があれば完全に支配できる」と発言しているが、実際の権限の範囲については両社から具体的な説明はない。

また、日本製鉄は2028年までにアメリカ国内で110億ドル(約1兆7000億円)規模の新規投資を行うことを約束している。この投資には新工場の建設も含まれており、地域経済や雇用への波及効果が期待されている。両社は共同声明で「このパートナーシップはアメリカの鉄鋼産業に前例のない投資をもたらし、10万人以上の雇用を守り創出する」と強調した。

トランプ大統領は当初、この買収計画に強く反対していた。2024年の大統領選を控え、米国内の雇用や産業保護の観点から、外国資本による米企業の買収に慎重な姿勢を見せていたためである。しかし、就任後は日米間の安全保障協定や追加投資などの条件を重視し、4月から再評価を進めてきた経緯がある。

今回の合意により、USスチールは日本製鉄の完全子会社となるが、アメリカ政府の強い監督下で運営されることになる。トランプ大統領は「この協定によって米国の雇用は守られ、アウトソーシングは一切行われない」と強調し、USスチールの従業員には5000ドルのボーナス支給も発表した。

なお、今後の大統領が黄金株をどのように扱うかについては不透明な部分も残る。最終的な買収完了は近く行われる見通しだが、今後の動向にも引き続き注目が集まる。
 

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。