「ここは中国だ!」──上海のレストランで禁煙を注意した英国人男性が暴行される事件が発生し、SNSを中心に大きな波紋を呼んでいる。
7月29日夜、上海市内のレストランで、中国人男性客が店内で堂々と喫煙。煙が立ち込める中、他の客たちは不快感を示すも誰も注意しなかった。
その場に居合わせた英国人の動画ブロガー、アレンさんが、「ここは禁煙です」「これは違法です」と中国語と英語で注意し、壁の赤い禁煙マークを指さして「警察を呼びます」と冷静に訴えた。アレンさんはスマートフォンで記録しながら抗議したところ、喫煙者は「カメラを消せ、ここは中国だ」と怒鳴り、アレンさんのスマホを叩き落として暴行を加えた。彼は首や腕などにけがを負い、自費で治療を受けた。
(当時の様子)
事件後、アレンさんは「金銭的補償はいらない。ただ加害者を法に基づいて処罰してほしい」と訴えている。なお彼はこれまでにも商業施設やジムで違法喫煙を注意し続けており、「英国の林則徐(阿片取締りを断行した清朝の官僚)」と称されるほどの一貫した姿勢を貫いてきた人物だ。
今回の事件をきっかけに、SNSでは「正しいことをしたのに暴力を受けるのはおかしい」「喫煙する方が非常識だ」といった声が相次ぐ一方で、「正義を貫いても損をする国」「通報しても警察は動かない」といった体制への不信も噴き出している。
人権派弁護士や評論家は、「自分に直接害がなければ黙認する」という風潮が、中国共産党の長期独裁を許してきた背景にあると分析。この事件を受け、ネット上では「アレンさんのように声を上げられる人がもっと増えてほしい」という願いが広がっている。
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