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日本 長距離ミサイル前倒し配備 防衛力強化で中国軍事活動を抑止

2025/08/30
更新: 2025/08/30

防衛省は8月29日、国産の長距離対艦ミサイルを従来の計画よりも1年早く西南地域に配備する方針を発表した。中国共産党(中共)による海軍活動が活発化する中、抑止力の強化と自衛隊の「反撃能力」確保を図る重要な施策と位置づけている。

熊本に新型対艦ミサイル、2027年度には静岡にも

今回の配備計画では、まず改良型の「12式地対艦誘導弾」が2026年3月までに熊本県の陸上自衛隊駐屯地で運用を開始する予定だ。射程は約1千kmで、中国沿岸、東シナ海、台湾北東海域、朝鮮半島の広範囲をカバーするという。高い機動力により、離島や本土への攻撃にも迅速に対応できるとされる。

防衛省は「南西地域の防衛力強化が喫緊の課題」として熊本への配備を決定。さらに2027年度には静岡県内の基地への同型ミサイル導入も予定している。今後は多拠点・広域の防御体制構築を目指す方針だ。

防衛相「いかなる侵略にも対応できる能力を」

中谷防衛相は記者会見で「日本領土への脅威は多様化しており、島しょ部への攻撃も含め、いかなる侵略にも対処できる体制が不可欠だ」と述べた。今回の措置によって「海上艦艇や上陸部隊による攻撃を確実に阻止し、抑止力を強化する」と強調した。防衛力の向上が潜在的な敵対勢力への抑止につながるとの認識を示した。

最近では中共軍による台湾近海や日本南部諸島周辺での訓練・演習が強化されている。今年6月には、中国の空母2隻が同時に南西諸島付近で活動したのが初めて確認された。

歴史的転換点となる防衛政策

日本は第二次世界大戦後、憲法に基づく「専守防衛」の原則を維持してきたが、近年の安全保障環境の変化を受け、2022年に安全保障戦略を大幅に見直した。中国を最重要課題と位置づけ、日米同盟の強化や自衛隊の役割拡大を推進している。

また、自国防衛力の強化も重視しており、今回導入する長距離ミサイルは「反撃能力」として、他国基地への攻撃にも対応可能な装備とされている。地域の安全保障環境の変化を踏まえた防衛力整備が急がれている。

防衛費の増額と装備の充実

日本政府は2027年までに防衛予算をGDP比2%へ引き上げる方針で、2026年度予算案は過去最大の8.8兆円となる見込みだ。長距離ミサイルや無人機開発など、装備の充実を進める。

国産ミサイルの開発と並行して、米国製の「トマホーク」巡航ミサイルの配備も今年中に開始される予定だ。さらに、空・海・水中無人機の導入も進め、海岸線や離島の防衛力を強化する体制を整える方針だ。

今回のミサイル配備前倒しには、中国のみならず、朝鮮半島やロシアの動向も意識されている。政府は「多拠点・広域型防衛」「自主防衛力の強化」「同盟国との連携」を柱に、急激な国際環境の変化に対応する構えだ。

張婷