米政府は10月1日午前0時、与野党が予算案で合意に至らなかったため正式に閉鎖に入った。だが市場では「閉鎖は一時的」との見方が強まり、米国株は上昇。S&P500種株価指数は史上最高値で取引を終えた。
S&P500は0.34%高の6711.20で引け、初めて6700を突破した。ナスダック総合指数は0.42%高の2万2755.16、ダウ平均は43.21ドル(0.09%)高の4万6441.10ドルだった。
株式市場は取引開始直後に一時下落したが、投資家心理が改善したことで反発。S&P500は一時0.5%安まで下げたものの、ヘルスケア株の上昇に支えられた。リジェネロン・ファーマシューティカルズやモデルナの株価が大きく上昇したことが寄与した。
S&P500は10月に入りすでに3.5%超上昇しており、力強いパフォーマンスを示している。
Navellier & Associatesの創業者ルイス・ナヴィリエ氏はCNBCに「市場はそれほど心配していないようだ。押し目買いを狙う投資家は待たざるを得ないだろう。モメンタムは依然として強い」と語った。
ロイターによると、LPLフィナンシャルのチーフ・テクニカル・ストラテジスト、アダム・ターンクイスト氏は報告書で「政府閉鎖は新たな不確実性を市場にもたらすが、過去の経験則から持続期間は短く、経済への影響は限定的だ」と指摘。
歴史的にも、政府閉鎖は株式市場に大きな影響を与えていない。1976年以降、アメリカでは20回の政府閉鎖が発生しており、平均継続日数は8日間だった。ターンクイスト氏によれば、閉鎖終了後の1か月後と3か月後にS&P500は平均でそれぞれ1.2%、2.9%上昇しているという。
「投資家は予算をめぐる混乱を無視し、企業収益や経済動向より重要な要因を優先する」と同氏は述べた。
政府閉鎖もトランプ大統領の中核政策に影響なし
米政治専門紙「ポリティコ」によると、トランプ政権は10月1日の政府閉鎖開始と同時に、大統領の最重要政策を守るための対策を講じている。
各政府機関は「必要不可欠な職員」を指定し、移民政策や関税交渉といった大統領の主要政策関連の業務が資金断絶の影響を受けないよう調整している。現職・元政府関係者によれば、移民法執行や関税交渉を担う部門は、従来の閉鎖時よりも多くの職員を確保する見込みだ。
トランプ政権の重点プロジェクトであるNASAの「アルテミス」月面探査計画も閉鎖期間中に継続されるほか、内務省による掘削許可や化石燃料開発の審査など、共和党の重要政策も通常通り進められる。
一方で、数十万人の連邦職員が自宅待機となり、食品安全検査、社会保障給付の認証、労働統計局による雇用統計の発表など多くの業務が停止する。
ホワイトハウスのラス・ヴォート行政管理予算局長は、閉鎖を利用して新たな大規模な連邦職員削減を実施する準備があると表明した。
今回の対立の核心争点は医療費。民主党は一部難民なども含めてオバマケア補助金の恒久化を主張する一方、共和党は1.5兆ドル規模の追加支出を理由に反対している。
トランプ氏は前日の会見で「政府閉鎖を望んでいないのは我々だ。しかし、閉鎖中に元に戻せない措置を取ることができる。大規模な人員削減や、彼らが好む政策の停止を行えば、もう取り返しはつかない」と述べた。
共和党の税制改革および国内政策法案に基づき、移民・税関執行局(ICE)の新規採用職員は給与支給が継続される。ICEはさらに、予算未成立の場合に給与が支払われない可能性のある職員についても、トランプ氏が「大きく美しい法案」と呼ぶ大型予算パッケージの資金で給与を保障する方針だ。
国土安全保障省の2025年閉鎖対応計画では、閉鎖中に残る職員比率を2023年の88%から95%に引き上げ、約2300人の増員を見込んでいる。
また、トランプ政権の象徴である通商政策も継続され、中国やインドとの高リスク交渉に加え、日本、韓国などとの複数の協議が進められている。
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