アメリカのトランプ大統領は10月25日、ウクライナとロシアの和平案が成立するまでプーチン氏と会談しない方針を発表した。
トランプ大統領は10月25日、カタールの首都ドーハ(Doha)でメディアに対し、ロシアとウクライナが和平案で合意に至るまでは、ロシアのプーチン大統領と会談しない方針を明らかにした。
トランプ氏は「理解してほしい。我々はまず合意を成立させる必要がある。私は時間を無駄にするつもりはない」と述べた。
同日、トランプ氏はエアフォースワンでマレーシアへ向かう途中、記者団に対して改めてこの立場を強調し、ロシアとウクライナの間で3年以上にわたり平和的進展が見られない現状に強い失望を表明した。
「私は時間を無駄にしたくない。プーチンとはこれまで非常に良好な関係を保ってきたが、今回は極めて遺憾である。この問題は本来、中東和平よりも早く解決すべきものだと思っていた」と語った。
さらにトランプ氏は、「私はアゼルバイジャンとアルメニアの紛争を解決した。あれは非常に難しい案件だった。実際、プーチンは電話で『ワオ、それは本当に素晴らしい』と言っていた。多くの人々がこの問題の解決を試みながら誰も成功しなかったが、私はそれを成し遂げた」と付け加えた。
クレムリン批判に対する反論:「ロシアのウクライナへの憎悪が和平を妨げている」
トランプ氏は25日、クレムリンがアメリカの対ロ制裁を批判したことに対しても言及した。ロシアのウクライナに対する「憎悪」が、和平実現の大きな障害になっていると指摘した。
「これまで私がまとめてきたほぼすべての合意は、ロシアとウクライナの問題よりも難しいと思っていたが、実際にはそうではなかった。両国の間には深い憎悪が存在する」と述べたうえで、トランプ氏は、中国共産党の習近平党首に対し、ロシア産原油の購入削減をさらに進めるよう促す考えを示した。
「今日、皆さんも確認しただろう。中国はロシア産原油の購入を大幅に減らし、インドは完全に購入を停止した。我々はすでに制裁を実施している」と述べた。
当初、トランプ氏は近くプーチン大統領と会談する予定だったが、実りのない形式的な会談に終わることを避けたいとして中止した。その後、アメリカ政府は10月22日、ロシアの主要石油企業であるロスネフチ(Rosneft)とルクオイル(Lukoil)、および複数の子会社に対して制裁を発動した。これにより、ロシア経済の中枢を直撃し、すでに危機的だった経済状況をさらに悪化させた。
トランプ氏の対ロ制裁に対するプーチン氏の反応
トランプ氏はこれまで、外交交渉を通じてプーチン大統領にウクライナ侵攻の終結を促してきた。しかし、制裁決定前にロシアはアメリカが提案した「前線での停戦とロシア・ウクライナ間の和平協議の実施」を拒否していた。
プーチン大統領は10月23日、アメリカの制裁がロシアに一定の影響を与えることは認めつつも、経済全体に深刻な打撃を与えることはないと発言した。また、「ロシアはアメリカや他国に屈服することはない。引き続きアメリカとの対話を重視する。対話は対立や戦争よりも望ましいものであり、その立場を堅持する」と強調した。
一方、前ロシア大統領で現ロシア安全保障会議副議長のドミトリー・メドベージェフ氏は、SNSのテレグラム上で「アメリカは今やロシアとの全面的な戦争の道を開いた」と投稿した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。