【ニュースレターが届かない場合】無料会員の方でニュースレターが届いていないというケースが一部で発生しております。
届いていない方は、ニュースレター配信の再登録を致しますので、お手数ですがこちらのリンクからご連絡ください。

米最大空母「フォード」 中南米に展開 麻薬密輸取り締まりを強化

2025/11/13
更新: 2025/11/13

米国防総省は11日、世界最大の航空母艦「ジェラルド・R・フォード」(USS Gerald R. Ford, CVN-78)を中南米地域に派遣し、国際犯罪および麻薬密輸の取り締まりを目的とする軍事行動の開始を発表した。これに対し、ベネズエラ政府は米軍の地域的な軍事展開に対抗するため、大規模な軍事動員を実施すると表明した。

5千人の将兵派遣 国際犯罪対策を強化

国防総省報道官ショーン・パーネル氏は声明で、「フォード号の展開は、南方軍司令部の管轄区域における探知・監視能力や攻撃能力を強化し、麻薬密輸と越境犯罪のネットワークを壊滅させることを目的としている」と述べた。また「作戦能力を維持・強化し、国際犯罪組織の活動を混乱・弱体化させる」と強調した。

米南方軍司令官アルヴィン・ホルジー提督は、「空母打撃群の到着は、西半球の安全保障を断固として維持する米国の意思を示すものである」と述べ、「的確で力強い行動によって、地域の安定を脅かすあらゆる勢力に対抗する」と語った。

「フォード」号は、米海軍が保有する最新かつ最大の原子力空母で、2017年に就役した。満載排水量は10万トンを超え、艦載機約75機と乗員約5千人を搭載できる。これまでに複数の海外派遣や合同演習に参加しており、米国の海軍力と国際的影響力を象徴する存在とされている。

ホワイトハウス、ベネズエラへの強硬路線を継続

米司法省は2020年、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を麻薬組織との共謀容疑で起訴し、1500万ドル(約22.5億円)の懸賞金を懸けた。今年8月、ホワイトハウスはその額を5千万ドル(約75億円)に引き上げている。

10月15日、トランプ大統領はホワイトハウス前で記者団に対し、中央情報局(CIA)にベネズエラでの秘密作戦を許可したと明らかにした上で、「海上作戦は順調だが、次の段階は陸上での打撃になる可能性がある。麻薬組織を止めるために必要なあらゆる手段を講じる」と述べた。

今月初めに放送された米CBSテレビのニュース番組『60ミニッツ』(60 Minutes)のインタビューでも、トランプ大統領はマドゥロ政権について「もはや長くはもたないだろう」と語る一方「現地での地上戦を開始する可能性は低い」として、直接的な軍事介入を否定する姿勢も示した。

ベネズエラ、20万人動員し大規模軍事演習

米軍の展開に反発し、ベネズエラのウラディミール・パドリーノ・ロペス国防相は11日、首都カラカスで記者会見を開き、陸・海・空軍による2日間の合同軍事演習を実施すると発表した。動員規模はおよそ20万人に達するという。ロペス氏は「これは米国の脅威に対する防御的措置であり、指揮・管制・通信能力を強化することが目的である」と述べた。

国営放送ベネズエラテレビ(VTV)の生中継演説で、ロペス氏は演習がマドゥロ大統領主導の「独立計画200(Plan Independencia 200)」の一環であることを説明し、軍と警察が協力して国家主権を守ると強調した。

また同氏は、米国が「麻薬対策」を名目に「内政干渉」を行い、マドゥロ政権打倒と国内石油資源の掌握を狙っていると非難した。マドゥロ大統領も米側の主張を全面的に否定し、米軍の動きは自らを政権から排除するためのものだと主張している。

米軍、活発な作戦展開 「麻薬撲滅」を掲げる

トランプ政権は、今回の軍事行動が麻薬密輸および国際犯罪の撲滅を目的としたものであると説明している。9月以降、米軍はベネズエラ沖および周辺海域で麻薬密輸に関与したとされる船舶を複数撃破し、少なくとも19回にわたり空爆を実施した。主な作戦範囲はカリブ海および中南米の太平洋沿岸地域である。

また、米上院は最近、ベネズエラへの軍事行動を制限する法案を否決した。これにより、ホワイトハウスは関連政策を継続できる体制を維持している。

米国防長官ピート・ヘグセス氏はSNS「X(旧Twitter)」で「麻薬王や密輸組織は米国の国境と国民に戦争を仕掛けている」と投稿し、これらの勢力を「アルカーイダのテロリスト」に例えたうえで、「麻薬テロリストに西半球で居場所を与えるつもりはない」と警告した。

王君宜
王君宜