11月17日、トランプ大統領はアメリカの生活費について語り、共和党が可決した減税措置やエネルギー生産の増加によって、アメリカ消費者のコストが低下すると述べた。インフレと経済的な不安がアメリカ経済への国民の信頼を損なっている状況の中、トランプ大統領はマクドナルド・インパクト・サミットで演説を行った。
オーナー、運営者、サプライヤーらを前に演説したトランプ大統領は、ウォルマートの感謝祭向け商品、マクドナルドの食品、エネルギー価格など、価格が下落しているさまざまな分野に言及した。
トランプ大統領はインフレが依然として続いていることを認めた。「我々は混乱を引き継いだのだ」と述べ、前任者の任期についてコメントした。「考えてみてほしい。我々の国の歴史上、最も高いインフレだったのだ」とも語った。
アメリカ史上では、最も顕著な例として1970年代など、より高いインフレ率を記録した時期が存在するものの、ジョー・バイデン大統領の4年間の任期は、COVID-19パンデミックの影響が一因とされる物価上昇に特徴づけられた。
トランプ大統領は、自身の政権がインフレ抑制のための措置を講じると誓い、その一部はエネルギー政策によって達成すると示唆した。
また、トランプ大統領は共和党の2017年の税制法の一部に含まれている自身の看板政策「ビッグ・ビューティフル・ビル法(One Big Beautiful Bill Act)」の税制優遇措置を強調した。
「私は誇りを持って、アメリカ史上最大の減税を実現し、『チップへの課税なし、残業への課税なし、偉大な高齢者のための社会保障への課税なし』を含むビッグ・ビューティフル・ビル法に署名した」とトランプ大統領は述べた。
ビッグ・ビューティフル・ビル法は、高所得者向けの減税措置や、2017年の共和党の税制改革に含まれるその他の減税を恒久化する内容であった。チップと残業への控除は所得2万5千ドルに制限され、施行から3年後に失効する。
トランプ大統領は、これらの減税が政権の「生活費対策」の重要な要素であると示唆した。 また、規制撤廃も物価抑制戦略の一環になると述べ、そのような規制緩和によって消費者のコストが下がる可能性を指摘した。
このファストフード業界の大規模イベントには、キャシー・ホークルニューヨーク州知事、ウェス・ムーアメリーランド州知事、ラーム・エマニュエル元シカゴ市長らも登壇。
生活費への懸念の高まりは民主党に勢いをもたらし、複数のオフイヤー選挙での勝利につながっている一方、ホワイトハウスは国民の経済不安を和らげようと努めている。
14日、トランプ氏はバナナ、牛肉、ココア、コーヒーなど幅広い農産物に対して免除措置を適用する大統領令に署名した。
近月、これらの商品価格は関税およびその他の非関税要因によって上昇していた。
コーヒー価格は、主にブラジル、ベトナム、コロンビアからの輸入品だが、過去1年間で約20%上昇した。労働省によると、1ポンドの挽いたローストコーヒーの平均価格は9月に9.14ドル(約1400円)となり、1年前の6.47ドル(約1千円)から上昇した。
バナナは9月までの1年間で約7%上昇した。牛肉の平均価格は1年前から15%上昇し、1ポンドあたり6.33ドル(約970円)になっている。
今年1月以降、食品全体の価格は1.9%上昇しており、前政権の最初の年の約7%と比較すると低い水準である。
2千ドルの関税リベート小切手の構想も復活しており、数か月前にテスラとスペースXの最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏が提案したものである。後に、所得制限が付与される可能性があると関係者が説明した。
過去数か月にわたって政権は住宅の手頃さ向上にも注力しており、50年住宅ローンや移行可能・引き継ぎ可能なローンの提案を行っている。
それでも11月のアメリカ消費者信頼感指数は2022年6月以来の低水準となり、国民が経済状況に対して懸念を強めていることを示す結果となった。これはホリデーシーズンを前にした懸念すべき兆候である。
一方、トランプ大統領の経済運営に対する支持率は、RealClearPolitics(RCP・自身の名を冠した世論調査の平均値)の平均で約41%となっている。
生活費への対応
今後の演説を控えているものの、トランプ大統領は生活費に関する懸念を退けている。
「実際、トランプ政権下ではコストは大きく下がっている。ガソリンとエネルギーに大きく助けられている。民主党が使う『手頃さ』という言葉は嘘であり、完全な詐欺だ」と同大統領は11月14日のTruth Socialで投稿した。
原油価格は今年約18%下落しているものの、全国平均のガソリン価格は昨年とほぼ変わらず、1ガロン3ドル強の水準にある。
スコット・ベッセント財務長官は、MSNBCの「モーニング・ジョー」出演時にトランプ大統領の発言に同調した。
「今朝も2人の人が番組に出て『ガソリン価格を見れば物価が上がっていると分かる』と言っていた。しかしガソリンは下がっている。それは詐欺だ。それが苛立たしいところだ」と同氏は述べた。
11月14日の投稿で、トランプ大統領は前年から感謝祭ディナーの価格が25%下がっているという以前の主張を繰り返した。この発言は、ウォルマートが毎年提供するバスケットの商品で、価格は40ドル近くであることを示している。
今年のセットは10人分を1人あたり4ドル未満で提供するとしているが、2024年版のバスケットよりも食品点数が減っている。2024年のセットは8人分を1人あたり7ドル未満で提供していた。
一方、ウェルズ・ファーゴ農業食品研究所は2025年感謝祭の食品レポートを発表し、10人分の感謝祭のごちそうの費用は前年より2〜3%低くなると予測している。
最終的に、ベッセント氏はトランプ政権がバイデン前政権から高インフレを引き継いだと述べている。
「我々はこの酷いインフレを引き継いだ。しかしそれを横ばいにし、押し下げようとしている。エネルギー価格は下がり、金利も下がっている」と11月16日のFox Business「サンデー・モーニング・フューチャーズ」で語った。「しかし、実際に起きようとしていることは、成長によってアメリカ国民の実質購買力が増加することだ」と述べた。
現在のヘッドラインインフレ率は年率3%となっている。 インフレに加えて、いわゆる「K字型経済(富裕層と貧困層の経済格差など経済の二極化が進む状態)」の兆候に対する懸念が近数週間で高まっている。
アメリカ経済の各所で、ファストフードの利用から車の販売に至るまで、市場内の格差の拡大を示すデータや傾向が指摘されている。「K字型経済」は、ある層や産業が堅調な成長を享受する一方で、低所得者や小規模企業がより深刻な困難に直面するという、分岐した経済環境を示すものである。
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