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エプスタイン関連文書公開法案 米下院で圧倒的に可決し上院へ

2025/11/19
更新: 2025/11/19

アメリカ下院は11月18日、故ジェフリー・エプスタインに関する文書の追加公開を司法省に義務付ける法案を、ほぼ全会一致で可決した。

採決結果は賛成427票、反対1票で、唯一反対したのはルイジアナ州選出のクレイ・ヒギンズ議員(共和党)であった。可決された法案は次に上院へ送られるが、成立の見通しは不透明だ。

この法案「エプスタイン文書透明化法案」は、民主党のロー・カンナ議員(カリフォルニア州)が提出し、共和党のトーマス・マッシー議員(ケンタッキー州)が共同提案したもの。法案は司法省に対し、エプスタインに関連する「すべての非機密記録、文書、通信、捜査資料」を、法施行後30日以内に検索およびダウンロード可能な形式で公開するよう求めている。

法案では、司法省が「名誉や政治的理由」によって文書を非公開、遅延、または黒塗りにすることを禁止している。ただし、被害者の身元情報や児童性的虐待の証拠を含む資料、捜査・訴追中の事件を脅かす恐れがあるもの、または死亡や暴力的な画像などは非公開とすることを認めている。

また、非公開とされた部分については、その理由を文書化し、「連邦官報」に記載のうえ、議会に報告することを義務付けている。

さらに、司法長官は文書公開から15日以内に、下院・上院の司法委員会に対し、どの文書を公開し、どれを非公開にしたかの一覧、法的根拠を含む黒塗り部分の概要、そして公開資料に名前が含まれる全ての政府関係者および「政治的に影響力のある人物(PEP:Political Exposed Person)」のリストを報告しなければならない。

トランプ大統領は、自身の名前も文書内に現れるが不正行為の告発は受けていないとされ、「共和党議員はこの法案を支持すべきだ」と呼びかけた。
同氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、「共和党には何も隠すことはない。民主党の極左が仕組んだ“でっち上げ”から前に進む時だ」と述べた。

トランプ氏はまた、法案が自身の机上に届けば署名する意向を示している。

11月17日、ホワイトハウス執務室で「われわれはエプスタインとは関係がない。彼の友人は皆、民主党員だ」と述べた上で、「物価抑制、エネルギー政策、戦争終結など成果は数多い。それを覆い隠そうとする動きには屈しない」と語った。

採決を前に、共和党のエリン・ハウチン議員(インディアナ州)は法案に賛成票を投じると表明した。

下院議長マイク・ジョンソン氏(共和党、ルイジアナ州)は記者会見で法案支持を表明しつつも、「被害者や無関係な人々の保護が不十分だ」と懸念を示した。「透明性の最大化を求める立場を示すため、全会一致に近い結果になるだろう」と語りつつ、「不備は修正すべきだ」と述べた。

一方、民主党のジム・マクガバン議員(マサチューセッツ州)は、「この法案の目的は政治ではなく被害者のためだ」と強調した。「権力と金を持つ男たちに虐げられた少女たちを忘れてはならない」と訴えた。

共和党のスティーブ・スカリス下院院内幹事(ルイジアナ州)は、「監視委員会の活動によって、すでにエプスタイン財団に関する数千件の文書を一般に公開している」と説明した。ただし、今回の法案の採決について自身が賛成・反対のいずれに投票するかは明言しなかった。
また、スカリス氏は「今後も被害者の保護と、情報公開による透明性の両立を目指す」と述べた。

なお、ここで言及されている文書の公開は、下院監視委員会のジェームズ・コマー委員長(共和党、ケンタッキー州)が発行した召喚令状によるものであり、それに伴い膨大な情報が公開されたという経緯である。

この法案は、下院の多くの民主党議員による「強制上程請願(discharge petition)」の署名によって、本会議で採決されることとなった。「強制上程請願」とは、通常は委員会で止まっている法案について、過半数(定数435人の過半数である218人)の下院議員が署名することで委員会を通さず本会議で審議・採決を行うことを可能にする特別な手続きだ。

同じく共和党のトロイ・ネルズ議員(テキサス州)は、法案を批判し、「民主党がこの文書公開を求めるのは、被害者のためではなく、トランプ氏をできる限り傷つけるためだ」と語った。

大紀元のワシントン特派員。 ワシントン政治を中心に、政治とスポーツ、スポーツと文化の交差点についても取材・報道を行っている。 過去には、Mediaiteのライターや、Jewish News Syndicateのワシントン特派員を務めた。 また、The Washington Examinerにも寄稿したことある。 ジョージ・ワシントン大学卒業。