中国軍機による航空自衛隊機へのレーダー照射をめぐり、中国共産党当局が訓練の開始を自衛隊に事前通報したと主張し、当時のやりとりとされる音声を公開したことについて、小泉進次郎防衛相は12月10日、防衛省で臨時記者会見を開き、「事前に通報されていない」と反論した。

小泉氏は「中国国営メディアが報じた音声の一つ一つについてコメントすることは差し控える」と述べた上で、「中国海軍艦艇から6日、海上自衛隊の護衛艦に対し、（空母『遼寧』の艦載機による）飛行訓練を開始するとの連絡があり、その内容を（自衛隊側は）聞き取った」と説明した。

しかし、「空母遼寧の艦載機がどのような規模で、どのような空域で訓練を行うかという具体的な情報は自衛隊にもたらされていない」と明かした。

続けて、「訓練を行う時間や場所の緯度経度を示す航空情報も、船舶などに示す航行警報も事前には通報されていなかった」と述べ、「危険回避のための十分な情報がなかった」と強調した。

小泉氏は、自衛隊機のスクランブル発進について「適切かつ必要な活動である」とした上で、空母「遼寧」から発艦した艦載機に対する対応についても「対領空侵犯措置を適切に行うことは、訓練に関する事前通報の有無にかかわらず当然だ」と話した。

また、中国共産党（中共）側が「航空自衛隊F-15が遼寧の艦載機に対してレーダーを使用した」と主張している点については、「事実ではない」と明確に否定した。

小泉氏は、「問題の本質は、我が方が対領空侵犯措置を適切に行う中で、中国側が約30分にわたり断続的なレーダー照射を行ったことだ」と述べ、中国側に対し「航空機の安全な飛行に必要な範囲を超える危険な行為であり、再発防止を引き続き厳重に求める」とした。

最後に、「長時間にわたりレーダー照射を受けるという極めて緊張を強いられる状況において、冷静に任務を遂行した自衛隊パイロットと、これを支える地上クルーを誇りに思う」と語り、「防衛省・自衛隊は今後もプロフェッショナリズムを発揮し、冷静かつ毅然と対応していく」と述べた。

中共側が公開した中国側が訓練開始を自衛隊に事前通報した際のやりとりについては、自衛隊側の女性が話す英語が中国語訛りだと指摘する声が相次いでおり、音声の信ぴょう性に疑義を呈する声が広がっている。