トランプ米大統領は2日、国家安全保障上の懸念を理由に、HieFoコーポレーションによる2024年のエムコア社(Emcore Corp.)からのチップおよびウェハー製造資産の買収を取り消す命令を下した。
この命令は、中国人が支配するデラウェア州拠点のHieFo社が、ニュージャージー州拠点のエムコア社から取得した「デジタルチップおよび関連するウェハーの設計、製造、加工事業を構成する資産」を所有することを禁止するものだ。この買収は2024年4月30日に完了していた。
大統領は命令の中で、HieFoがエムコアの資産取得を通じて「米国の国家安全保障を損なう恐れのある行動をとる可能性があることを示す、信頼に足る証拠がある」と述べた。
180日以内の資産売却を命令
命令によると、対米外国投資委員会(CFIUS)が期限を延長しない限り、同社は180日以内にこれらすべての資産を売却しなければならない。CFIUSは、米国内への外国投資を審査し、潜在的な国家安全保障リスクを評価する省庁間組織である。
財務省の別個の声明によれば、CFIUSが取引に国家安全保障上のリスクがあると判断したことを受けて、大統領はこの決定を下した。懸念の内容は、エムコアの知的財産、ノウハウ、専門知識への潜在的なアクセスに加え、エムコアのデジタルチップ部門が製造するチップの供給が米国以外へ転用されるリスクに関するものであった。
命令に基づき、HieFoとその関連会社は「契約、在庫、有形財産、部品、固定資産、売掛金、許可証、エムコアがリースまたは所有する不動産、および知的財産を含む、所在を問わずすべてのエムコア資産における権益と権利」の放棄を強制される。
買収の背景と経緯
HieFo社は2024年の声明で、エムコアの「非中核的な非継続チップ事業ラインおよびInP(リン化インジウム)ウェハー製造事業」のほぼすべての資産の買収を完了したと発表していた。この買収には、カリフォルニア州アルハンブラにあるエムコアの施設からの設備、契約、知的財産、および在庫の移管が含まれていた。
当時の声明では、ジェンザオ・チャン(Genzao Zhang)氏とハリー・ムーア(Harry Moore)氏が新会社の共同創設者として名を連ねていた。エムコアの元エンジニアリング担当副社長であるチャン氏が、HieFoのCEOに任命されている。
チャン氏は声明で、「エムコアが40年以上にわたり築いてきた光電子デバイスの革新的な遺産を活用し、通信、データ通信、AI接続業界に貢献するため、最も革新的で破壊的なソリューションを追求し続ける。経験豊富なコアチームと強力な財務基盤により、極めて迅速に事業を再開する」と述べていた。
相次ぐ中国関連取引の阻止
トランプ氏が取引を阻止したのはこれが初めてではない。
7月には、Suirui International社によるデラウェア州拠点のジュピター・システムズ(Jupiter Systems)の買収を阻止する命令を出している。この決定は、CFIUSがジュピター社の製品が「軍事および重要インフラ環境で使用されている」ことに関連する国家安全保障上のリスクを特定したことを受けて下された。大統領令は、2020年2月に完了していたこの買収を取り消し、香港を拠点とする同社に対し、ジュピター社におけるすべての権益と権利を売却するよう命じた。
2025年2月21日、トランプ氏は米国内の中国投資による国家安全保障上の脅威に対処するための覚書に署名した。
この覚書によれば、米国はCFIUSを含むあらゆる法的手段を駆使し、テクノロジー、重要インフラ、ヘルスケア、農業、エネルギー、原材料などの主要部門における中国の投資を制限する方針だ。
ホワイトハウスは当時のファクトシートで、「米国は、中国のような外国の敵対勢力による資本、技術、知識の搾取を抑制するための新規則を策定し、米国の利益にかなう投資のみを許可することを確実にする」と述べている。
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