中国の旧正月といえば、夜空を埋める花火と爆竹の大音響が風物詩だ。ところが近年は、大気汚染や安全対策を理由に、多くの都市で花火の使用を厳しく制限した。
今年も事前に各地で取り締まりを強化した。住民の家を訪ねて花火の所持を確認したり、上空から監視したという情報もある。これに対し、市民からは「そこまでやる必要があるのか」と不満が噴き出した。
それでも大みそかから元日にかけて、ドーン、バチバチと各地で花火が一斉に打ち上げられた。禁止を承知で路上に出る人も少なくなかったという。
ネットには住宅街や広場で色とりどりの花火が夜空を埋め尽くす映像が次々と投稿され、「やっぱりこれがないと新年らしくない」といった声が広がった。中には「禁止に負けるな」といった字幕を添えた動画もあり、あからさまな政治批判は避けながらも、当局への反発をにじませている。
一方、取り締まりを恐れた住民の間では、爆竹に代わる「代替案」を模索する動きも見られた。河北省の一部では、爆発音の出る風船を地面にたたきつけて割り、「即席の爆竹」に見立てる住民もいた。本物の爆竹ほどの迫力はないが、「音だけでも鳴らしたい」という思いの表れだった。

花火は単なる娯楽ではない。古くから「厄払い」や「新しい年を迎える合図」として親しまれてきた伝統でもある。だからこそ、禁止すれればするほど、鳴らしたい気持ちは強まる。
日本では静かな年越しが一般的だが、中国人の多くにとって、爆竹の音の鳴らない正月は「正月ではない」に等しい。
禁止されても鳴らしたい。夜空に上がったのは花火だけでなく、人々の小さな抵抗心だったのかもしれない。
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