中国で広がる消費冷え込み 党機関誌も「内需不足」認める

2026/05/27
更新: 2026/05/27

中国本土の消費市場で冷え込みが続き、商店側もその変化を強く実感している。上海や成都などの商店主や住民はこのほど取材に対し、「顧客の消費は前年と比べ明らかに減少している」と証言した。専門家は「国民に消費需要がないのではなく、将来不安から消費に踏み切れない状況だ」と指摘し、中国共産党政権が長年推進してきた「内循環」政策が機能不全に陥っているとの見方を示した。

上海で衣料品卸売業を営む浙江省温州出身の劉さんは、「旧正月後、取引先の仕入れ姿勢が以前より慎重になった」と語った。

「ジーンズは例年よく売れ、若者にも人気だったが、この3~4か月の販売量は昨年同期比で約3割減った。長ズボンはほとんど動かない。若者は以前にも増して金を使わなくなっている。多くの衣料工場が規模縮小を進め、一部では注文を小規模工場へ回している」

大型スーパー閑散 住民は低価格品へ

上海市黄浦区の住民、陳さんも取材に対し、「大型スーパーで行列を見ることがなくなった」と話した。

「最近は大型スーパーへ行くこと自体が少ない。昨日、自宅近くの大型スーパー『世紀聯華』へ行ったが、人はまばらだった。以前はレジに長蛇の列ができていたのに、今は数人しか並んでいない。スーパーの商品は高く、一般庶民には手が出ない」

陳さんによると、多くの住民がより安価な商品へ流れているという。

「以前はスーパーで野菜を買っていた人たちが、今では路上の小さな店で買っている。近所の衣料品店は次々閉店し、代わりに野菜店へ変わった。野菜は安く、商売も繁盛している」

中国メディアはこのほど、中国人民銀行(中央銀行)の統計を引用し、2026年第1四半期末時点のクレジットカードおよびローン一体型カードの発行枚数が6億8700万枚となり、昨年末からさらに900万枚減少したと報じた。

クレジットカード発行枚数は、2022年第3四半期に8億700万枚でピークを迎えた後、14四半期連続で減少。3年以上で累計約1億2千万枚減り、規模は2018年水準まで縮小した。

四川省成都市の何さんは、「地元でも店舗数が減少している」と語る。

「春熙路は成都で最もにぎわう商業街だが、一見すると人通りは多くても、実際に店へ入ると、見て回る人ばかりで、本当に買う人は少ない。他の地域の衣料品店などは、店内を見る人すら少ない。今の経済は本当にひどい状態だ」

何さんはまた、前首相・李克強が提唱した「露店経済」が後に中央政府から否定された経緯に触れ、「今では露店経済すら成り立たない」と嘆いた。

「淘宝(タオバオ)や京東(JDドットコム)などのネット通販平台(プラットフォーム)は、政策支援を背景に庶民の商売を潰してしまった。最近見た動画では、ある店主が『タオバオの独占経営のせいで実店舗が立ち行かない』と激しく怒っていた」

「消費できない」のではなく「消費が怖い」という心理

中国共産党政権は近年、内需拡大を繰り返し打ち出し、「国内大循環」を経済政策の重点に据えてきた。

しかし、複数の商業関係者は「雇用不安、収入減、不動産価値の下落、社会保障負担の増加により、多くの住民は支出より貯蓄を優先している」と口をそろえる。事業者側も長期計画を立てられず、「先行き不透明なまま、その場しのぎで進むしかない」という。

南京大学卒の金融研究者、徐昆さんは取材に対し「内循環が成立する前提は、国民に安定した収入と消費への自信があることだが、現在はその双方が失われつつある」と指摘した。

「内循環は、スローガンを叫べば回り始めるものではない。庶民が金を使うには、まず安定収入が必要であり、『明日はもっと悪くならない』という安心感も必要だ。博士号取得者がフードデリバリーをし、大卒者が数百社に履歴書を送っても学歴相応の仕事が見つからない。求人広告では月給7000元とうたっていても、面接に行けば実際は3000元にも満たないことがある。その金額で家賃と食費を払えば、どこに購買力が残るのか」

徐さんによれば、今年の中国の大学卒業生は1270万人に達し、雇用圧力はさらに強まる見通しだという。

「彼らがどうして消費に踏み切れるのか。『若者から搾り取ろう』としても、もう搾り取る余地すらない。中共はいま、内循環という袋小路に陥り、抜け出せなくなっている」

党機関誌も「内需不足」認める

中国共産党機関誌「求是」は今年、「内循環」をテーマとした論文を相次いで掲載し、「国内大循環の強化」を第15次5か年計画の経済路線の中核に位置づけている。

一方で、これらの記事では、中国経済が「供給過剰・需要不足」の矛盾や、内需低迷、企業経営難、雇用・所得増加への圧力といった問題に直面していることも認めている。

今月21日掲載の「現在の供給過剰・需要不足の矛盾をどう見るか」と題する記事では、「住民の所得見通しは弱く、予防的貯蓄意欲が強まっており、消費能力と消費マインドが影響を受けている。短期的には内需で外需減少分を補うことは難しい」と分析した。

徐さんは「政権は長年にわたり内循環を推進してきたが、住民所得比率の低さ、社会保障の不備、不動産市場の崩壊、雇用不安などの問題を解決できていない」と指摘。その上で、次のように語った。

「内循環の核心は、庶民に『もっと金を使え』と迫ることではない。庶民が安心して消費できる能力と自信を持てる環境を整えることだ。所得分配が変わらず、社会保障負担も軽減されず、地方財政が罰金や税金、医療保険料、社会保険料などを通じて住民や企業から資金を吸い上げ続ける限り、消費が本格回復することは難しい」

新唐人