台湾最大野党トップの訪中期間 中共軍が実弾射撃訓練 民進党「国民党への平手打ち」

2026/04/10
更新: 2026/04/10

中国共産党政権は9日、1日限定の実弾演習を実施した。一方で、台湾最大野党の主席は今回の訪中を「平和の旅」と表現する中、軍事的緊張と政治的接触が同時進行する形となっている。

複数の中共の官製メディアによると、演習は中朝の間に位置する黄海北部海域で、9日午前10時から午後4時(現地時間)まで実施された。中国・遼寧省大連市にある中国海事局の地方機関の発表を引用して伝えた。

これを受け、台湾の邱国正・国防部長は記者団に対し、台湾軍が状況を全面的に監視していると述べた。台湾国防部系の報道機関が報じた。

中共は台湾を自国の一部とみなし、武力侵攻も辞さない姿勢を示しつつ、急速に軍備の近代化を進めている。台湾周辺では定期的に軍事演習が行われており、昨年には台湾を包囲する大規模演習が2度実施された。これらは台湾の世論に圧力をかけ、北京寄りの方向へと誘導する狙いがあるとみられる。

今回の演習は、台湾最大野党・国民党の主席、鄭麗文氏が中国を訪問している最中に行われた。同氏の訪中は習近平側の招待によるものとされる。

鄭氏はこれまでに、江蘇省や上海市党委員会書記ら中共の高官と会談。9日には上海で台湾系企業関係者と会合し、10日には習近平との会談を行った。

台湾では2016年以降、民進党が政権を担っているが、中共は同党政権との公的な接触を拒否している。頼清徳総統および蔡英文前総統については、台湾の主権を強く支持しているとして「分裂主義者」と位置付けている。

これに対し、国民党は一般に民進党よりも対中関係において融和的とみられている。

民進党の林楚茵報道官兼立法委員は、今回の軍事演習について「国民党に対する平手打ちだ」と批判し、「独裁政権に対する非現実的な幻想」を抱いていると指摘した上で、「力こそが平和の基盤だ」と強調。頼総統が提案する約400億ドル規模の特別防衛予算について、速やかな可決を求めた。

しかし、この特別予算案は、国民党と台湾民衆党が支出抑制を主張しているため、野党主導の立法院で審議が停滞している。

9日には、民進党の議員が、防衛費増額計画の審議に関する本会議を欠席したとして国民党を批判した。

米国の議員も頼政権の防衛費拡大方針を支持している。8日、台湾を訪問したジム・バンクス上院議員(共和​党)は頼総統との会談で、「立法院はその責任を果たし、特別予算を可決すべきだ」と述べた。

さらに、「立法府で特別予算が可決されれば、それは中国および国際社会に対し、台湾が『力による平和』を真剣に追求しているという明確なシグナルとなる」と強調した。

鄭主席の訪中日程は12日に終了する予定である。

台湾在住のジャーナリスト。米国、中国、台湾のニュースを担当。台湾の国立清華大学で材料工学の修士号を取得。