アラブ首長国連邦(UAE)は4月28日、5月1日付で石油輸出国機構(OPEC)とOPECプラスから脱退すると発表した。この決定により、世界の原油供給や価格形成に対するOPECの影響力が一段と低下する可能性がある。
複数の専門家は、UAEがOPECの制限を離れることで、今後段階的に増産に動く可能性があるとみている。ただ、ホルムズ海峡が封鎖されている影響で、短期的な効果は限定的とみられる。長期的には原油価格の下落要因となり、世界経済にはプラス材料になるとの見方が出ている。
UAEは声明で、OPECと非加盟の主要産油国でつくるOPECプラスからの脱退について、現在と将来の生産能力を総合的に評価した結果だと説明した。この決定によって、世界市場の安定に貢献するUAEの姿勢が変わることはなく、むしろ市場の変化に対応する柔軟性を高めるものだとしている。
現在、UAEはOPECの主要産油国の一つで、日量約350万バレルを生産している。一方、潜在的な生産能力は日量400万〜500万バレルに達するとされる。
UAEは近年、OPECが設定する生産枠にたびたび不満を示してきた。生産枠が低く抑えられ、収益機会を失っているとの不満があったためだ。UAEは生産枠の引き上げを望んできた一方、サウジアラビアは厳しい減産によって原油価格を下支えする姿勢を取ってきた。
時事評論家の李林一氏は、「OPECは、誰もが知っている通り、実質的にはサウジアラビアが主導している組織だ。UAEがそこから離脱するということは、この組織の内部に亀裂が入ったことを意味する。離脱の主な理由は、UAEが石油輸出を増やしたい一方で、サウジアラビアは高値を維持するため、過度な増産を望んでいないことにある。つまりUAEは、離脱後、サウジアラビア主導の生産・輸出制限から抜け出し、できるだけ輸出を増やして、外貨収入の拡大を図ることができる」と説明した。
また、地域政治の要因も影響しているとの見方がある。近年、UAEとサウジアラビアの関係は、中東政治や経済をめぐる要因を背景に、次第に冷え込んできたとされる。
時事評論家の藍述氏は、「イランはOPECの主要な創設国の一つ。一方、ロシアはOPECプラスを主導してきた国の一つである。しかし、過去5年間に中東やヨーロッパで起きた出来事は、ロシアとイランの行動が既存の国際秩序を損ない、国際原油価格の安定を大きく揺るがしていることを示している。UAEのOPEC離脱は、ドミノ倒しの最初の一枚にすぎない」と指摘した。
市場関係者の間では、UAEのOPEC離脱による短期的な影響は限定的との見方がある。ホルムズ海峡が封鎖されているため、原油価格は当面、高止まりする可能性があるためだ。ただ長期的には、原油価格の下落要因となり、消費者にとっては負担軽減につながる可能性がある。
今後、供給制約が緩めば、原油価格の決定要因はOPECの政策判断から、需給の基礎条件へと徐々に戻る可能性がある。
また、原油価格の抑制を重視するトランプ米大統領にとっても、追い風になるとの見方がある。
李林一氏は、「アメリカは長年、OPECによる石油市場への強い影響力を弱めたいと考えてきた。今回、UAEがOPECを離脱することは、アメリカにとって当然ながら好材料だ。原油価格の抑制につながるという点でも、良いニュースだといえるだろう」と述べた。
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