なぜ中共はメタ社によるシンガポールAI企業「マナス」買収案を封殺したのか

2026/04/30
更新: 2026/04/30

中国共産党(中共)が外資企業によるマナス買収案を阻止したことで、中共が規制を海外に拡張し「ロングアーム管轄」を行っているとの批判が浮上している。

中国共産党の御用メディアは社説を掲載し、中共は「洗澡式出海(身ぎれいにして海外逃亡)」などの違反行為を禁じていると主張した。アナリストは、マナス買収案の阻止が二つの方面で影響をもたらすと指摘している。

中共の国家発展改革委員会(発改委)はフェイスブックの親会社メタによるシンガポールのAIスタートアップ企業マナスへの買収案を強制的に破棄させた。理由として、いわゆる国家安全保障審査と技術輸出コンプライアンス上の懸念が挙げられている。この件は広く注目を集めている。

関係筋によると、マナスの創業者2人は今年3月から中共に出国禁止の制限を受けているという。

マナスは、北京の蝴蝶効応(バタフライエフェクト)社が開発したAIエージェント製品で、2025年3月のリリース後に一夜にして注目を集めた。しかし同年6月、マナスは本社をシンガポールに移転し、国内チームを大幅に縮小して中国国内でのサービスと事業を停止した。その後12月には、米フェイスブックの親会社メタが約20億ドルでマナスを買収すると発表した。

マナスはすでにシンガポール企業への移行を完了していたにもかかわらず、中共当局に明確に禁じられた。このことが、中共の規制による「ロングアーム管轄」への懸念を引き起こしている。

時事評論家の鄭浩昌氏は次のように述べた。

「発改委(国家発展改革委員会)がメタによるマナスの買収を禁じたのは、ブラックストーンによる潘石屹のSOHO中国買収を認めなかったことや、李嘉誠の長和がパナマの港を売却することを認めなかったことと、背後にある論理は同じだ。この党は天も地も人も管理したがり、あなたの思想まで管理しようとする。肉体がすでに海外にあっても関係ない。マナスを『洗澡式出海』と言うのは、新たな罪名を作り出しただけにすぎない」

近年、米国による高性能半導体の輸出規制など米中間のテクノロジー競争の激化や国内の厳しい規制環境を背景に、企業は「脱中国化」の発展路線を模索するようになっている。しかし、マナス買収案の阻止は企業の信頼感を損ない、二つの影響をもたらすとされる。

時事評論家の李林一氏は次のように述べた。

「中共が外資によるマナスの買収を禁じたことで、萎縮効果が生じる。第二の影響として、中国企業が海外に進出する一つの道が塞がれた。今後は別の問題も生じる。米国のAIスタートアップ企業が調達する資金は中国のAIスタートアップ企業の13倍に上るため、中国のAI企業が今後調達できる資金が極めて少なくなれば、深刻な問題、すなわち人材流出が起きることになる」

また、4月30日(水)、中共の国家金融監督管理総局の公式サイトから局長・李雲澤の経歴情報が削除されていることが確認された。李雲澤が解任されたとすれば、マナス買収案と関係している可能性があるとの見方も出ている。

李林一氏は「李雲澤の件は、この買収案と関連している可能性が高い。マナスが当初シンガポールへ本社を移転した際、中共の監督当局はこれが大きなリスクをはらむと認識しておらず、当時は青信号を出していた」と述べた。