カナダ政府文書2千件超が中共側へ流出か 元科学者を起訴

2026/07/15
更新: 2026/07/15

外国干渉事件に関与した疑いで、カナダ連邦政府に勤務していた中国系の元科学者が起訴された。政府機関のサーバーから2千件以上の文書を複製し、中国共産党(中共)当局の機関に渡したとされる。

CBCによると、デニス・ルー被告はカナダ天然資源省の鉱物・エネルギー技術センターで、数十年にわたりクリーンエネルギー研究に携わっていた。主な研究分野は、炭素回収や脱炭素技術だった。

ルー被告は2023年8月に退職する予定だったが、退職予定の週に解雇された。その後、刑法違反の罪で起訴された。起訴内容は、コンピューターの不正使用2件と、連邦政府での職務に関連する背任1件である。

検察側によると、一連の行為は、ルー被告が2023年に休暇で台湾と中国を訪れていた間に行われた。逮捕されたのは2024年だった。

検察側の主張では、警察がルー被告のオタワ市内の自宅を捜索した際、電子機器から証拠が見つかった。そこには、ルー被告が中国企業や大学、研究者と不審な関係を持ち、雇用契約を結んでいたことを示す内容が含まれていたという。こうした関係は、カナダ天然資源省の内部規定に違反していたとされる。

記録には、ルー被告がこれらの文書を中共側に渡そうとしていたことも示されている。

情報機関が再三警告 政府が内部調査へ

裁判所の記録によると、2000年から2021年にかけて、カナダ安全情報局は少なくとも3回、カナダ天然資源省にルー被告に関する情報を伝えていた。

安全情報局が最後に同省の安全管理責任者へ報告したのは2021年2月だった。記録によれば、この報告を受け、同省は2023年1月に内部調査を始めた。調査では、ルー被告への監視や捜索、パソコン内の情報の差し押さえが行われた。目的は、ルー被告の行為が法的責任を問われる可能性があるか、またCSISの警告内容が妥当だったかを確認するためだった。

記録では、ルー被告は2023年2月に休暇を取り、旅行に出た。翌月には、同年8月に退職する意向を上司に伝えていた。

中国滞在中、ルー被告は勤務先のメールから個人メール宛てに約2千通を送信していたという。

2023年6月初め、カナダ天然資源省は、ルー被告の業務用メールとサーバーへのアクセスを停止した。同月末、カナダに戻ったルー被告がこの措置について雇用主に問い合わせると、退職手続きを進めるため、上司の判断でアクセスが復旧された。

文書複製を続け、最終的に逮捕

裁判所の文書によると、ルー被告は2023年7月7日、天然資源省の共有サーバーに保存されていた2414件の文書を別の機器に複製した。さらに2023年8月9日には、共有ドライブ内の別の188件の文書を別の機器に複製した。

2023年8月17日、天然資源省の担当者は、文書の複製についてルー被告から事情を聴いた。同日、同省は内部調査の結果をカナダ王立騎馬警察に伝えた。

約1年後、退職後に中国でおよそ1年間暮らしていたルー被告は、オタワに戻って間もなく、騎馬警察の国家安全統合執行チーム(INSET)に逮捕された。ルー被告は、コンピューターの不正使用と背任の罪で起訴された。INSETは、国家安全保障上の脅威に対応する専門の法執行部門である。

ルー被告は現在、保釈中である。保釈条件に違反した場合、たとえばオンタリオ州外へ出たり、パスポートやその他の渡航書類を申請したりすれば、ルー被告と保証人はそれぞれ1万カナダドルの支払い義務を負う。

裁判は来年1月に始まる予定で、陪審員による審理が行われる。

周行