トランプ政権 対中インフラ戦略を再始動 海底ケーブルなど数億ドル投資

2026/07/28
更新: 2026/07/28

トランプ政権は、中国共産党(中共)の国際的な影響力に対抗する取り組みを再開・拡大している。カリブ海および中米地域の海底通信ケーブル更新に、1億7580万ドルを投じる計画を議会に通知した。

また、アメリカ国務省は、西半球やアフリカ、アジアで、サイバーセキュリティや港湾、重要鉱物、宇宙、監視技術などの分野に関連する事業に、約5億ドルを投じることを検討している。

AP通信が入手した国務省の内部文書には、「アメリカは、中共が拡大している経済・技術・外交面での影響力に対応する必要がある。この影響力はアメリカの国益を損なっている」と記している。

これらの取り組みは、昨年の予算削減と人員削減で停止していた事業の一部を再開するもので、外交的影響力の回復を目的としている。

海底通信ケーブル更新の狙いと対象地域

トランプ政権は7月24日、カリブ海および中米地域で老朽化が進む海底通信ケーブルを更新するため、1億7580万ドルを投じる計画を議会に通知した。地域の通信インフラに対する中国側の影響力を抑えることが狙いである。

この計画は、「中共によるカリブ海および中米の海底ケーブル支配への対抗プロジェクト」としている。

通知によると、戦略的に選定した海底ケーブルの整備を支援し、各国政府と民間企業の連携を促すとしている。

対象となるのは、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、ハイチなどである。ただし、ニカラグアについては、両国関係が緊張していることから、政府間の直接協力は行わないとしている。

トランプ政権はこれまで、西半球における中国の活動について懸念を示しており、パナマ運河周辺の港湾への投資や、「一帯一路」構想によるインフラ整備、通信分野への進出などを注視している。

匿名の国務省高官は、「中国側の提案は安価に見える場合があるが、最終的にはコスト増や維持費、性能面の問題などで、結果的に高くなる」と指摘している。

在米中国大使館は、AP通信の取材に対し、これまでのところコメントしていない。

停止事業の再開と外交影響力の回復

今回の海底ケーブル計画は、より広範な対中対抗策の一部である。

国務省の内部文書によると、アメリカは西半球やアフリカ、アジアで、中国の影響力に対応するため、さらに約5億ドルの資金投入を検討している。

これらの多くは、昨年停止した事業の再開を目的としたものである。

昨年は、政府効率省(DOGE)による予算と人員の削減により、アメリカ国際開発庁(USAID)を解体し、各地の外交ポストも削減した。この影響で、対中関連の事業の一部も停止していた。

アメリカ政府高官は、対中対抗のための資金拡充について検討が進められており、複数の大型事業が協議段階にあるとしている。

50超プロジェクトの全体像

内部文書では、50以上の事業が挙げられており、総額は3億4千万ドルを超えるとしている。

具体的には、アルゼンチンとベリーズにセキュリティ・オペレーションセンターを設置し、重要インフラや通信ネットワークへの脅威を監視する計画がある。

また、エクアドルやジャマイカ、メキシコ、パラグアイ、ペルー、ウルグアイに対しては、港湾運営への関与や違法漁業、重要鉱物の違法採掘への対策を支援するとしている。

さらに、中国による監視・検閲技術の海外展開に対応するほか、宇宙分野での影響力にも対抗する取り組みが含まれている。

宗教や情報分野では、ダライ・ラマの後継者問題への関与に対応するとともに、通信や情報収集の安全性を高める技術開発も検討している。

米中関係 競争続く

トランプ大統領と中共の習近平党首は、表向きは安定した関係を維持している。習近平はことし9月の国連総会に合わせてニューヨークを訪れ、トランプ大統領と会談する見通しである。

一方で、両国間の競争は続いている。今回の予算計画からも、アメリカが対中強硬姿勢を維持していることがうかがえる。

トランプ大統領は最近の演説で、中国がアメリカの選挙に干渉したと非難し、影響工作への警戒を強めている。

アメリカの連邦記録によると、2025年に中共の政府機関や国営メディア、関連企業が申告した対米支出は、1億ドルを超えた。この多くが、メディア運営やロビー活動に充てられている。

これらの活動は、政策への影響や制裁措置の緩和などを目的としている。

ただし、これらの数値は公開した範囲に限られており、実態の全体像を示すものではないとされている。

陳霆