中国東部・浙江省にある中国最大級の映画・ドラマ撮影拠点「横店影視城」に異変が起きている。
宮殿や昔の街並みなど巨大なセットが並び、多くの撮影隊や俳優が集まってきた「中国のハリウッド」である。ところが今、映画やドラマの撮影が減り、空いた施設を観光客向けに活用する動きが広がっている。
中国メディア「看点資訊」によると、撮影スタジオの空き率は78%。かつて30以上の撮影隊が同時に使えた施設でも、2026年4月のある時点では、撮影していたのはわずか1組だった。映像業界の不振に加え、低コストで作れるAIショートドラマの急増も影響している。今年の旧正月以降、6割を超える俳優がほとんど収入を得られていないという。
「横店」が公表した公式データでも、現在撮影中なのは、スマホ向けの短いドラマが33作品、通常の映画・ドラマが26作品。約14万人のエキストラが登録しているが、1日に出る仕事は約800件にとどまる。
そこで力を入れているのが、観光客自身を「主役」にするドラマ撮影だ。
一番安いプランは218元(約5000円)。298元(約7000円)なら衣装と撮影チームが付き、388元(約9000円)ならメイクや髪形のセットまで付く。団体向けには約9万~28万円の本格的なプランもあり、実際のドラマセットやプロ用の機材を使って撮影してもらえる。入場料は別料金だ。
同じようなサービスは北京や西安、洛陽などにも登場しているが、「横店」の場合、セットや衣装、小道具だけでなく、監督やカメラマンなど撮影のプロもそろっている。映画やドラマの仕事が減るなか、こうした人材や施設を観光客向けに生かそうとしているのだ。
かつてスターを夢見る若者が集まった街で、いま主役になるのは、お金を払った観光客である。
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