FBI文書で判明 米連邦議員 中国工作員疑惑の女性との肉体関係を認める

2026/08/19
更新: 2026/08/19

ホワイトハウスの政府透明性タスクフォースは8月17日、連邦捜査局(FBI)の捜査文書を新たに公開した。文書によると、カリフォルニア州選出の民主党連邦下院議員エリック・スウォルウェル氏は、睡眠薬を服用した後、中国共産党(中共)の工作員とみられるクリスティン・ファン(中国名・方芳)と肉体関係を持ったことを認めていた。

タスクフォースは同日、機密解除したFBIの防諜記録約150ページを公表した。これらの文書は、中共政府がスウォルウェル氏を標的として展開したとされる情報活動について、現時点で最も詳細な公式記録。

米紙ニューヨーク・ポストによると、今回公開した文書には、FBIが数年にわたって実施した方に関する捜査の詳細を記している。方は、中国国家安全部(MSS)の工作員だった疑いがあり、カリフォルニア州で学生として活動する一方、アメリカ政界の関係者に接近していた。

文書によれば、現在45歳のスウォルウェル氏は、FBIによる事情聴取の録音の中で、方と複数回にわたり肉体関係を持ったと認めた。そのうちの1回では、方が深夜、スウォルウェル氏のアパートを訪れ、激しくドアをたたいたという。スウォルウェル氏は、睡眠薬を服用した後に肉体関係を持ったと説明し、この出来事についてはほとんど記憶がないと述べた。

スウォルウェル氏の選挙陣営で働いていた元スタッフは、2015年5月1日のFBIによる聴取で、方を「非常に軽率な人物」と表現した。また、方が招かれていなかったにもかかわらずスウォルウェル氏の自宅前に現れ、「下着を着けていない」と同氏本人に伝えたとも証言した。

この問題が2020年に初めて広く報じられると、スウォルウェル氏は大きな政治的圧力を受けた。当時、同氏は下院情報委員会の委員であり、中国の情報活動に関与した疑いがある人物との私的・政治的な関係をめぐり、共和党から厳しい批判を受けた。

2023年には、当時のケビン・マッカーシー下院議長がスウォルウェル氏を下院情報委員会から外した。一方、下院倫理委員会は約2年にわたる調査を経て、2023年に調査を終了した。追加の措置は取らず、スウォルウェル氏が下院規則や法律、倫理基準に違反したとの認定もしなかった。

スウォルウェル氏は2026年4月13日、連邦下院議員を辞職すると発表した。これに先立ち、同氏の性的な不正行為をめぐる複数の報道が出たことを受け、カリフォルニア州知事選への立候補を断念した。

方の両親も国家安全部の工作員か

FBI捜査官がまとめた背景情報によると、方は2011年か2012年ごろ、30代前半の留学生を装ってアメリカに入国した。カリフォルニア州立大学イーストベイ校に正式に登録し、北カリフォルニアの政界で市民活動の主催者として活動していた。

しかし、FBIが知人や大学関係者から事情を聴いた結果、方は実際には授業に出席せず、単位も取得していなかったことが分かった。学生という身分は、査証を取得してアメリカに滞在し、自由に移動するための隠れみのだった。

FBIの防諜文書によると、米情報機関は方の両親について、いずれも北京の国家安全部に所属する、身元が特定された現役の情報工作員だと判断していた。国家安全部は、中国共産党の対外情報活動と政治安全保障を主に担う情報機関である。

FBIは方を監視し、2015年ごろには接触があった政治関係者の一部に対し、方が中国の情報活動に関与していると警告する「防御的ブリーフィング」を実施した。

スウォルウェル氏も当時、FBIから説明を受けた。同氏は後に、FBIが方への懸念を示した後、関係を断ったと述べている。

公式の聴取要約では、スウォルウェル氏自身も、方が中国国家安全部と関係がある人物と密接かつ継続的に連絡を取っていたと認めている。聴取中、同氏はこの組織を「中国のCIA」と表現した。

FBIは、方が中国共産党の高位の政治関係者に接触でき、国家安全部との強い家族的な結び付きもあることを重視し、内部作戦名「RUSTY THUMBS」の下、方を秘密情報提供者として協力させようとした。

しかし、方が北カリフォルニアやアメリカ中西部で秘密裏に活動していた範囲が広がるにつれ、情報提供者として取り込む試みは最終的に成功しなかった。

「ハニートラップ」か、政界への浸透か

この事件で注目すべきなのは、スウォルウェル氏と方の私的な関係だけではない。

米情報機関は長年、外国の情報機関が必ずしも直ちに最高機密の取得を狙うわけではないと警告してきた。むしろ、将来有望な若手政治家に早い段階から接触し、社交行事や政治資金集め、インターンの機会、私的な関係を通じて、長期にわたり人脈を築く手法を取ることがある。

方が用いたのは、「エリート取り込み(elite capture)」と呼ばれる典型的な情報工作である。州レベルや全国規模で知られる政治家になる前の、将来有望な新人政治家を政治キャリアの初期段階で見定め、関係を築く手法を指す。

スウォルウェル氏の事例は、当時は全国的に知られていなかった若い地方政治家が、わずか数年で連邦議会に進出し、最終的に下院情報委員会の委員となった過程を示している。

米情報当局者によると、方はスウォルウェル氏以外にも、アメリカ中西部の少なくとも2都市の市長と肉体関係、または交際関係にあり、親密な関係を利用して地方政界や地域の政治的人脈に入り込んだ。

方はアジア太平洋系アメリカ人公共問題協会(APAPA)の地域支部で重要な連絡役を務めた。この組織を足場に、政治家を招く晩餐会や市民活動を企画し、候補者を資金力のある献金者層に紹介したほか、地方の政治事務所の業務やインターンへの応募支援にも関わった。

方のその後

方は2015年、突然アメリカを離れた。米情報当局者によると、FBIの捜査が進展する中で出国し、その後はアメリカに戻っていない。

カリフォルニア州で築いていた方の政治的人脈も、その後、急速に崩れた。

王蘭