中国人留学生を米国で逮捕  軍用機撮影で報酬か

2026/09/03
更新: 2026/09/03

カナダの大学に通う中国人留学生がアメリカで逮捕された。FBIによると、ウォータールー大学の学部生、ウェイホン・ツォン(Weiheng Zeng)は、中国にいる人物から特定の航空機や機体番号を撮影するよう指示を受け、報酬を受け取っていたことを認めた。

ツォンは現在、連邦当局者への虚偽陳述罪で起訴されている。スパイ活動が疑われる一連の行為については、まだ法廷で認定されていない。

カナダ放送協会(CBC)が9月2日に報じたところによると、ツォンは2004年生まれで、オンタリオ州ケンブリッジ在住。8月23日、車でウィンザーのアンバサダー橋を渡り、米ミシガン州に入国した際に逮捕された。

9月1日にはデトロイトの連邦裁判所に出廷し、勾留の継続に同意した。

シカゴの空港で撮影 オンタリオ州ナンバーが手がかり

FBIが裁判所に提出した刑事訴状によると、捜査のきっかけは今年4月21日だった。

この日、シカゴ・オヘア国際空港にあるFedExの従業員用駐車場で、職員が周辺を撮影している男を発見した。

監視カメラには、男が駐車場で航空機や空港内の施設を撮影する様子が映っていた。男はフォークリフトの上に登って写真を撮ったほか、施錠されたFedExの配送車やコンテナを開けようとしていた。

訴状によると、ツォンは後に、フォークリフトに登った理由について「より良い撮影角度を得るためだった」と説明した。

捜査当局は、現場にあったオンタリオ州ナンバーの濃紺色のクライスラー「タウン&カントリー」を手がかりに、男をツォンと特定した。

約4か月後、ツォンは同じ車で再びアメリカに入国した。

税関職員に対し、シカゴへ向かい、その日のうちにカナダへ戻る予定だと説明したが、その後、詳しい検査を受けた。

CBCが訴状をもとに報じたところによると、ツォンは複数回の聴取で説明を変えていたという。

スマホから多数の軍用機の写真

国境当局がツォンのスマホを調べたところ、多数の軍用機の写真が見つかった。

ツォンは当初、自分は航空機愛好家で、写真は航空機の動きを追う趣味として撮影したものだと説明した。一部の情報は航空機追跡サイトから入手したと話していた。

FBI捜査官は訴状で、スマホには、ツォンや別の人物が戦術装備を身に着け、ライフル型の銃を手にしている写真もあったと説明している。

ツォンは、写真に写っていたのはサバイバルゲーム用のエアガンで、軍事訓練を受けたことはないと主張した。

しかし、聴取が進むと、ツォンは金銭を受け取って特定の航空機や機体番号を撮影していたことを認めた。

中国の連絡役が撮影を指示 SIMカードも提供

裁判資料では、ツォンに撮影を依頼していた人物を「中国の連絡役」と記している。

ツォンによると、2人は2024年、中国の航空愛好家向けオンラインフォーラムで知り合った。ツォンは、この人物が中国共産党の情報機関に関係している可能性があると考えていた。

訴状によると、連絡役は撮影する航空機や機体番号を指定し、ツォンが撮影を終えると、報酬を人民元で銀行口座に振り込んでいた。

ツォンはまた、相手から4~5か月ごとに中国電信の新しいSIMカードが送られ、それをファーウェイのスマホに入れて使用するよう指示されていたと説明した。

訴状では、この方法により、カナダの通信網を介さず、中国電信の通信網を通じて情報を送ることができるとしている。

撮影を終えた後は、SIMカードを破棄し、チャット履歴や写真を削除するよう求められていたという。

ツォンの説明では、2025年10月、連絡役からトロント・ピアソン国際空港にあるFedExの施設内を撮影するよう求められた。

ツォンは施設に入ろうとしたが職員に止められたため、建物の外から写真を撮影した。その後、写真を相手に送り、約200ドル相当の報酬を受け取ったという。

検察「逃亡の恐れがある」

デトロイトの連邦裁判所に初めて出廷した際、検察側はツォンの勾留を続けるよう求めた。

ツォンが米国籍ではなく国外に居住し、ミシガン州とのつながりも乏しいことから、逃亡する恐れがあると主張した。

9月1日の出廷では、ツォンは勾留の継続に同意した。

ウォータールー大学はCBCに対し、捜査・裁判中の刑事事件についてはコメントしていないと説明した。

ツォンは現在、連邦当局者への虚偽陳述罪で起訴されており、スパイ罪には問われていない。

訴状に記された、中国の連絡役から航空機撮影の指示を受けていたことや、報酬を受け取っていたこと、相手が中国の情報機関に関係している可能性があるといった内容については、いずれも法廷で認定されていない。

楚方明