米財務長官 G20に対中貿易の再検討を促す

2026/09/01
更新: 2026/09/01

ベッセント米財務長官は、1兆ドルを超える中国の貿易黒字を縮小させるため、20か国・地域(G20)の加盟国に対し、中国との貿易条件を再検討するよう促す考えを示した。各国が連携して世界的な通貨協定を結び、人民元の上昇を促せば、中国共産党(中共)に貿易・輸出モデルの変更を迫ることができるとの分析もある。

ロイター通信によると、ベッセント氏は8月30日、G20財務相会議を前に行われたインタビューで、米中間の直接的な貿易関係は改善しつつあるものの、中国製品が世界市場へ大量に輸出される状況は現在も続いていると述べた。

ベッセント氏は「世界は、1兆2千億ドルの貿易黒字を抱える中国を受け入れることはできない。中国経済は現在かなり弱く、輸出を通じて苦境から脱しようとしている。経済構造を調整する必要がある」と述べた。

米国勢調査局のデータによると、トランプ米大統領が2025年にホワイトハウスへ復帰し、関税措置を導入して以降、今年上半期の米国の対中貿易赤字は前年同期から3分の1縮小し、739億ドルとなった。

中国製品が欧州や中南米などへ流入し続けていることについて、ベッセント氏は、昨年すでに他国に対し、中国製品の急増による圧力に直面すると警告していたとし「今、各国はいくつかの非常に厳しい選択に直面している」と語った。

ベッセント氏はそれらの国に対して、北京に輸出依存からの脱却を促し、長期にわたり低迷している中国国内の需要を喚起させる責任があるとしている。

欧州連合(EU)の対中貿易赤字は拡大を続け、2025年には過去最高となる3600億ユーロに達した。かつてEUが優位性を持っていた自動車や新エネルギー製品などのハイエンド製造業も、現在はより安価な中国製品の脅威にさらされている。

ドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、欧州委員会の会議で、人民元が20~30%過小評価されていると指摘した。

メルツ氏は「人為的に抑えられた為替レートは、自国経済の競争上の地位を向上させようとする者にとって有利になる」と述べた。その上で、通貨の不均衡と貿易赤字の問題を解決するため、欧州と中国には「現代版プラザ合意」が必要だと直接提案した。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは8月29日、「なぜ世界は人民元の上昇を強いる必要があるのか」と題する記事で、世界の多くの国が長年にわたり、輸出ではなく内需への依存を高めるよう中共政府に経済モデルの変更を促してきたが、ほとんど効果はなかったと指摘した。

同記事の中でも、中国の貿易黒字が拡大し続け、貿易相手国の産業基盤を脅かす中、過小評価されている人民元を押し上げるため、世界には新たな「プラザ合意」が必要だとしており、関税を後ろ盾とする通貨協定が、中共政府に行動を促す唯一の手段となる可能性があり、その時機はすでに熟しているのかもしれないとの見方を示した。

一方、中国の貿易相手国は、人民元を大量に購入するだけでその為替レートを押し上げることはできないとの分析もある。中共が人民元の発行と入手経路を厳しく管理しているためで、世界の主要経済国に残された唯一の手段は、中国製品に追加関税を課すことかもしれないという。

フランス政府が今年2月に発表した報告書は、「中共に一律30%の関税を課すことに相当する、前例のない貿易保護措置を講じる」よう提案した。

任義