米国防総省は先月31日、地対空ミサイル「パトリオット」と終末高高度防衛ミサイル(THAAD)の迎撃ミサイルについて、生産を大幅に増強する二つの枠組み合意を発表した。部品の生産能力をパトリオット向けで3倍、THAAD向けで4倍に引き上げる。イランとの戦闘やウクライナ支援で迎撃ミサイルの在庫が減少する中、防衛産業の生産体制を急速に拡充する狙いだ。
米防衛大手ジェネラル・ダイナミクスの子会社(ゼネラル・ダイナミクス・オードナンス・アンド・タクティカル・システムズ)とロッキード・マーティンが、それぞれ7年間の調達契約を締結した。対象は、THAADとパトリオットの改良型迎撃ミサイル「PAC3 MSE」の部品など。
国防総省によると、ジェネラル・ダイナミクスの子会社は高度に専門化された迎撃ミサイル部品の生産を拡大する。ミサイルの覆いを展開する装置やモーターケース、目標を探知・追尾するシーカーの外装・中間部品などの生産も増やす。
国防総省の調達・維持担当次官マイケル・ダフィー氏は「官僚的な手続きを減らし、納期を短縮するとともに、国内の製造能力を急速に拡大する」と述べた。
今回の合意は、迎撃ミサイルの在庫不足への対応を急ぐ米政権の取り組みの一環だ。米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は7月27日の報告書で、今年2月末に始まったイランとの戦争により、米軍のパトリオット迎撃ミサイルの在庫が少なくとも65%、THAADが少なくとも38%減少したと推計した。
米国はロシアとの戦争を続けるウクライナへの武器供与でも弾薬を取り崩しており、迎撃ミサイルの生産能力強化が急務となっている。
米シンクタンクの「ケイトー研究所」の国防・外交政策担当上級研究員で元国防総省職員のキャサリン・トンプソン氏は、エポックタイムズに対し、イランとの戦闘が「米軍の重要弾薬の在庫不足をさらに深刻化させた」と指摘した。
トンプソン氏は、パトリオット、THAAD、長距離巡航ミサイル「トマホーク」などの不足が、対中抑止を維持する上で問題になるとの見方を示し、「米国は現在、軍事力を拡大して運用する一方、戦略的な約束を支える能力との間で、現実的な過剰負担に直面している」と述べた。
国防総省は先月3日にも、ノースロップ・グラマンとロッキード・マーティンとの枠組み合意を発表。「PAC3 MSE」の部品生産能力を3倍、THAADの部品生産能力を4倍にする計画を示した。
先月14日には、ボーイングとRTX傘下のレイセオンとの合意も発表し、米軍の迎撃ミサイル「SM3ブロックIB」「SM3ブロックIIA」の部品生産を拡大する方針を明らかにした。
さらに17日には、トマホークの年間生産数を1000発超に引き上げるため、レイセオンと229億ドル(約3兆円)の契約を締結した。
トランプ大統領は17日、米FOXニュースに対し、米国の一部の兵器在庫が「ひっ迫している」と認める一方、「我々が使った量はほんのわずかだ」と述べ、米国にはなお大量の兵器があるとの認識を示した。
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