中国で民間救援隊を相次ぎ取り締まり 「被災地の実態知られるのを警戒」

2026/09/02
更新: 2026/09/02

8月31日、中国共産党(中共)江蘇省民政庁は、2026年第1弾となる「違法社会組織」リストを公表し、民間組織12団体を一斉に取り締まった。このうち7団体は緊急救援を掲げて活動しており、ほかには教会、同じ姓や一族による交流団体、学習グループ、ボランティア団体などが含まれている。

取材に応じた関係者は、中共が団体登録制度を通じて民間組織を統制しており、団体の設立からメンバーの活動、地域をまたぐ活動に至るまで、党・政府機関の許可が必要になっていると指摘した。当局の統制は、社会のさまざまな分野にまで及んでいるという。

取り締まりの対象となった緊急救援組織7団体は、「国際緊急救援センター江蘇省総隊」「中国国際救援センター南通緊急支隊」「中国国際救援センター緊急産業連盟南通市運営センター」「国瀛救援国際緊急センター泰州支隊」「国際緊急救援センター江蘇総隊無錫支隊」「国際緊急センター蘇州支隊」「国際緊急センター蘇州支隊呉江大隊」。

当局がこれらの団体を「違法組織」と認定したことについて、無錫市の人権活動家、鍾さんは大紀元に対し、最近、中国各地で自然災害が相次ぐなか、民間救援隊が被災地に入り、当局が公表を望まない情報を外部に伝える可能性があるため、中共が警戒を強めていると語った。

「民間救援隊が現地に入ると、写真や動画を公開し、被災者の状況を伝える。結果として、役人の無能や怠慢、救助を怠る実態が明るみに出る。こうした情報はインターネットですぐに拡散するため、当局は民間救援を歓迎しない。今回、江蘇省がいわゆる違法組織を取り締まったのも、救援隊によって、当局の不十分な対応が明るみに出ることを恐れているからだ。それが本当の目的だ」

団体登録制度で民間組織を統制

江蘇省民政庁は8月12日にも、「国際緊急救援センター江蘇省総隊」を取り締まったと発表した。

発表では、同団体が当局に登録をせず、民間の非営利団体として活動していたとしているだけで、責任者やメンバーの人数、資金源、救援実績、違法な収益の有無などは明らかにしていない。

中共民政部が7月に公表した別の事例によると、「中国国際救援センター(集団)江蘇省緊急救援総隊徐州支隊」は、海外で登録された企業を母体として中国国内で設立式や隊旗の授与式を行い、「支隊長」「督察長」「政治委員」などの役職を設けていた。同団体は2025年4月に取り締まられた。

これらの団体は名称が似ているが、中共当局は、団体間に上下関係があるのか、メンバーや資金面でつながりがあるのかを説明していない。また、実際に災害救援に参加した団体がいくつあるのかも公表していない。

江蘇省で民間支援活動に携わる朱濤さんは記者に対し、当局が「違法組織」として取り締まった団体も、以前から中共の管理下にあり、こうした緊急救援組織が当局の統制外で活動することはできないと語った。

「10年ほど前から始まっている。公安は民間の非政府組織を管理し、資金源や資金の使途、給与を受け取っている人、ボランティアとして活動している人についても報告を求める。海外団体の支援を受ける組織は、国家安全当局の管理対象になる。中国にはすでに独立した非政府組織は存在しない。表向きは独立していても、実際には警察の管理に従わなければならない」

河南省で民間公益団体の研究に携わる蘇さんは、「当局が恐れているのは、民間救援組織の規模や影響力が拡大することだ。参加者が増え、地域をまたぐネットワークが形成され、地域間で物資を融通できるようになれば、当局は政権に対する潜在的な脅威とみなす。いつか、こうした組織が当局の統制を離れることを共産党は恐れている」と語った。

中共の現行制度では、民間団体は登録許可を得ていなければ、「違法社会組織」と認定される場合がある。

蘇さんによると、自然災害の救援団体について当局が特に警戒しているのは、団体が被災者と直接連携し、当局が公表したくない情報を外部に伝えることだという。

「例えば河南省で洪水が起きて死者が出ても、当局が『死者はいない。住民は避難させた』と発表する一方、民間救援隊が実際の死者数を伝えることがある。中共が最も恐れているのは、隠していたことを暴かれることだ。だから最初から救援活動に参加させず、組織そのものを取り締まる」

家庭教会も相次ぎ取り締まり

今回のリストには、「悔い改めと聖潔ミニストリー」教会も含まれており、常州市民政局が同教会を取り締まった。

公開情報によると、同教会は「ケニア宣教団」とも呼ばれ、これまでにも湖南省益陽市や吉林省などで取り締まられている。いずれも、当局に登録せずに団体として活動していたことが理由とされた。

キリスト教徒の蘇氏は、家庭教会は以前から当局の取り締まり対象となっていると指摘する。

「中国本土では、当局の管理下にない教会の存在は認められていない。キリスト教を信仰するなら、三自愛国教会に入り、当局が支配する教会に参加するよう求められるが、それを望まない信者も多い。当局はそうした教会を取り締まり、集会や教会活動を禁じる。被災者への支援活動も認めない」

2025年に江蘇省が公表した第1弾「違法社会組織」8団体のうち、「モルモン教南京支部」「神の教会」「佳息教会」「エホバの証人」「モルモン教連雲港支部」「新天地教会」などがリストに掲載された。

江蘇省では2年連続で、未登録の複数の教会を「違法社会組織」と認定し、取り締まりの対象としている。

江菲