SNSで消費者の声に耳を傾け、人気を集めた中国の若手社長が、わずか1年で経営トップの座を退き、会社を去った。
中国自動車大手・北京汽車の王昊氏(44)。自らライブ配信に登場する「ネットアイドル社長」として知られ、傘下ブランド「北京越野」は2025年、販売台数を前年比72%増の14万7千台に伸ばした。
それでも、会社全体の純利益は87%減。
背景には、稼ぎ頭だったメルセデス・ベンツとの合弁事業の不振や、中国メーカー同士の激しい値下げ競争があった。
一部のブランドが売れても、会社全体の経営は立て直せない。王氏は2026年3月に経営トップを退き、別部門へ異動。その後、10月に会社を去った。
会社側は退職を人事異動に伴うものと説明しており、業績不振が直接の理由かは明らかにしていない。
一方、中国メディア「騰訊網」に掲載された分析記事では、辞任の背景として、業績悪化による経営陣への圧力、2026年春のグループ全体のトップ交代、そして王氏のSNSを重視する経営スタイルと、コスト削減や利益確保を急ぐ会社側の方針とのずれを挙げている。
後任には、製造や販売に精通したベテラン幹部の張国富氏が就任。業界では、話題づくりよりも経営の立て直しを優先する姿勢の表れとの見方もある。
人気を集め、車も売った。それでも、利益を出し続けられることを証明する前に、王氏は経営の第一線を去った。
SNSで注目を集めるだけでは乗り越えられない、中国自動車業界の厳しい現実が浮かび上がる。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。