これはポッドキャスト「ヴィクター・デイヴィス・ハンソン:イン・ヒズ・オウン・ワーズ(Victor Davis Hanson: In His Own Words)10月27日配信」の内容を一部編集したものである。
核兵器や軍事力の面において最も強力な3人のリーダー、すなわちロシアのプーチン大統領、中国共産党党首の習近平、そしてアメリカのトランプ大統領による計画中のサミットを巡り、現在激しい非難が飛び交っている。
西側諸国は現在、激しい怒りを露わにしている。トランプがウクライナやその戦争を巡って否定的な発言を繰り返したため、「ウクライナを売り渡そうとしている」と非難しているのだ。ヨーロッパや米議会は蚊帳の外に置かれ、トランプがウクライナの主権を取引の道具に使おうとしていると、彼らは危惧しているのである。
しかし、なぜ彼らは会談するのか。なぜトランプは会談を望んでいるのか。彼はそこから何を得たいのか。明らかなのは、彼が以前からしきりに言及しているように、自身が「トライアングレーター(三者間の仲介者)」になりたいという点だ。プーチンには「我々に対してよりも中国に親密になってほしくない」と伝えたいと考えている。習近平には「プーチンを扱うときよりも我々を大きな敵とみなさないでほしい。3者すべてに互いのバランスを取らせたい」と伝えたいのだ。
彼はこの発想をどこから得ているのか。それは伝統的なヘンリー・キッシンジャー流のトライアングレーションである。
トランプが会談を望むのには2つ目の理由がある。イラン戦争のこの小康状態において、カスピ海沿岸の施設を我々は攻撃しておらず、イランから陸路でロシアの州、旧ソ連の州、そして最終的にロシアへと向かうすべての高速道路や鉄道網も遮断していないことは極めて明白である。そして、イランはいくつかの物資を手に入れている。
トランプはプーチンに対し、「あなたがそのすべてを停止し、我々が事態を終結させることができるなら、ウクライナにおけるアメリカの役割について交渉したい」と言いたいのだ。トランプが最も望んでいないのは、2つの戦争を同時に抱えることである。
3つ目は、当然ながら安い原油価格の実現を求めているという点だ。現在、ペルシャ湾からは1日あたり2400万バレルの原油が出荷されており、その量は戦争前と同等、あるいはそれを上回っている。しかし、ホルムズ海峡が解放され供給が増加しているにもかかわらず、それがガソリン価格の低下にまだ反映されていない。国内の製油所が不足しているため、価格の下落を実感できていないのだ。さらに、ウクライナがロシア国内の製油所を攻撃していることも影響している。それに加え、過去20年間にわたる規制や過剰な環境保護(グリーン)政策のせいで、米国には十分な製油所が存在しないのである。
したがって、問題は石油ではなく製油所である。トランプはプーチンにこう話しかけたいと考えている。「戦争を終わらせよう。ウクライナが君たちの製油所を攻撃するのを我々が止めさせる、制裁を解除する、そうすればガソリンと石油の価格は下がり、世界経済は繁栄するだろう」
さて、ウクライナ側は恐怖に震え上がっており、トランプがプーチンにすべてを渡してしまうのではないかと考えている。彼はそんなことはしない。漏れ伝わっている情報から判断すると、それは「ウティ・ポシデティス(占有の原則)」と呼ばれるものである。これは、戦争前(の境界線)をベースにしつつも、現状の占有状態を基準とする公式だ。
言い換えれば、戦争前には主権を持つウクライナがあり、侵略的なロシアがあった。その事実を変えることはできない。しかし、「占有の原則」とは、両者の間の戦線が新しい休戦ラインになることも意味する。
ウクライナは、およそ500〜600マイル(約800〜1千キロ)に及ぶ防衛回廊において、都市や道路網を結んだ強固な前線を築き上げている。この防衛線は絶対に不可欠なものであり、もしこれがなければ、ロシア軍はキーウへ向けて進撃を続けていただろう。そもそもロシアは、クリミア半島や東ウクライナの併合を通じて、600万〜800万人のロシア語話者を自国領として組み込んできた背景がある。
人口の25%から30%を失い、経済に壊滅的な打撃を受けたウクライナが、クリミアや東ウクライナを取り戻すための資力を手にすることは今後一切ない。
そこに加え、クリミアは1700年代後半以来、伝統的にロシアの一部であったという要素がある。ベルリンの壁の崩壊とソビエト連邦の崩壊後、独立国として自律していたのはわずか3年ほどであり、ロシアが奪う前にウクライナがそれを押さえたのだ。
そしてウクライナ東部は、一部にはウクライナの民族解放の機運をなだめるため、言い換えれば独立運動の矛先を収めるために、ニキータ・フルシチョフによってウクライナに割譲された。つまり、そこには複雑な歴史があるのだ。
これから行われるこの会談は、1939年のフィンランドとの戦争(冬戦争)を非常に彷彿とさせる。当時、ロシアは今と変わらず侵略的であり、プーチンがウクライナを攻撃したのと同様に小さなフィンランドを攻撃した。そして、彼らはフィンランドを圧倒すると豪語した。
しかし、フィンランドは10対1の圧倒的な兵力差にもかかわらず戦った。ウクライナ人と同じように、1940年の秋から春にかけて猛烈に戦い抜いた。そして、このソビエトの巨大な軍事力を打ち負かすことはできないと悟ったのだ。
そこで彼らは妥協案をまとめ、次のように伝えた。「あなた方は我々に10パーセントか15パーセントの割譲を求めた。我々はそれを守るために戦争をした。あなた方は今それを手に入れた。それを持って行っていい。しかし、我々は死に物狂いで戦うか、あるいはあなた方を攻撃せず自衛に徹することを約束する。ドイツは我々の同盟国だが、もし戦争が起きても、ロシアの領土でドイツ軍に加担してあなた方を攻撃することはしない」
カール・グスタフ・エミール・マンネルヘイム将軍はその約束を守り、冷戦時代の「フィンランド化(オーストリアやスイスのような中立的で日和見主義的な国家に似ているという揶揄)」に関するジョークにもかかわらず、フィンランドは生き残った。
それはウクライナにとって良いモデルになり得る。「我々はNATOに加盟するつもりはないが、徹底的に武装する。最前線でヨーロッパの防波堤となる覚悟はあるが、公然とNATOの一員になったり、ロシアへ露骨に敵対したりするわけではない。ただし、ロシアの侵略をいつでも撃退できるだけの防衛力は保持する」と言うことができる。
それが彼らが結ぼうとしている協定の概要であると私は考えている。
なぜ彼らがこの会談をさらに望んでいるのか。その背景には、イラン戦争や中東の混乱だけでなく、リベラル派のほとんどが言及しようとしない「人道的な配慮」がある。双方の総死傷者数はおそらく250万人近くに達すると見られており、これは第二次世界大戦のスターリングラードの戦いや、第一次世界大戦のソンムの戦い、ヴェルダンの戦い(いずれも想像を絶する多数の兵士が命を落とした、歴史上最も過酷な激戦)がすべて合わさったようなものなのだ。ドイツ軍によるソ連侵攻以来、ヨーロッパにおける最悪の虐殺でありながら、未だに終わりが見えないのである。
終わりへの道筋は見えていない。誰も平和計画を提示できておらず、戦争の終結策も打ち出せていない。ウクライナはロシアの怒りに屈服しておらず、今後も屈することはなく、ロシアも攻撃をやめないだろう。非常に皮肉なことに、彼らは「逆スターリングラード」とも言うべき泥沼の状況に陥っている。かつてのスターリングラード攻防戦で、ドイツ軍は前進して敵を打ち負かすこともできなければ、かといってプライドが邪魔をして後退して軍を全滅から救うことも拒んだ。今のロシアとウクライナの関係もまさにそれと同じだ。
ロシアは撤退しないが、前進もできない。したがって、人道的な観点から終結の道を見つけることは、すべての関係者の利益となる。
最後に、台湾の問題がある。ロシア、ヨーロッパ、アメリカがウクライナ問題に囚われ、アメリカがイラン問題に囚われているとき、中国は好機と見て台湾に侵攻するかもしれない。
したがって、中国の台湾侵攻は自国の利益にならないことを、米国はロシアや台湾(特にロシア)と事前に話し合っておく方が得策である。シリア、イラン、ベネズエラなど、多くの親ロシア政権が失われたのは事実だが、ロシアにとって最も避けたい事態がある。それは、世界最大の国土と豊富な天然資源を持ちながら人口が希薄な自国のすぐ隣に、侵略的で勢力を急速に拡大する中国が存在し続けることなのだ。
したがって、これら3カ国の間には多くの利害の一致がある。最後に、批判を行っているのはヨーロッパである。なぜならヨーロッパは自分たちが蚊帳の外に置かれていると感じており、トランプは悪であり、プーチンの操り人形だと思い込んでいるからだ。彼らは1期目からのプロパガンダをすべて鵜呑みにしているのだ。
しかし、ヨーロッパが米国にもっと深く関与してほしいと望むのであれば、筋が通らない。兵站や偵察、情報収集のコストを含めれば、米国はすでに1,000億〜2,000億ドルもの支援を提供してきたのだ。
もしヨーロッパがこの重大な外交(ウクライナ和平など)に本気で口を出したいなら、米国に対してこう歩み寄るべきだったはずだ。 「ヨーロッパはロシアの天然ガスを必要とする最大の顧客であり、米国側にもロシアへの懸念やディーゼル油の購入といった事情があるのは理解している」と。
彼らはそうしなかった。代わりにトランプを非難した。
ヨーロッパ側は、本来こう言うこともできたはずだった。
「ロシアがヨーロッパ、とりわけウクライナにとって死活問題であるのと全く同じように、あなた方米国にとっても、あなた方や我々を狙うイランの核ミサイルを阻止することは、イランとの生死をかけた戦いのはずだ。だからこそ、あなた方がウクライナを支援してくれているのと同じように、我々もイランとの戦いにおいてあなた方を支えたい」と。
しかし、実際のヨーロッパの対応はどうだったか。 「アメリカの支援は一切しない。NATOの基地も空域も使わせない。イギリスにあるアメリカ軍の爆撃機に十分な警護すら提供しない。その結果、もし爆撃機がイラン系テロ組織の標的になったとしても、逮捕されたテロリストを保釈して野放しにする」と言い放ったのだ。
それが彼らのしたことである。
だからこそ、彼らが「蚊帳の外」に置かれている理由はよくわかる。自分たちが軽蔑してきたトランプ大統領から「国防費を増やせ」と強要されなければ、彼らは自分たちの利益のためにすら、国防費を目標の2%に引き上げることは決してなかったのだ。しかも、そうしてようやく重い腰を上げた西ヨーロッパでさえ、現実はかろうじて2%に達しているにすぎない。
したがって、ヨーロッパが重要な場にいないのは当然なのだ。イタリアやベルギーの一部、特にフランスやアルバニアなどでは、国内の暴動によって社会が完全な混乱状態に陥っている。その上、経済は停滞して活気がなく、お互いに助け合う互恵的な姿勢も持ち合わせていなかったのである。
彼らはこう言ってのけたのだ。「我々ヨーロッパがロシアのエネルギーを購入することは仕方がないことだ。米国が同じことをしたとしても、どうせ我々を非難するのだろう。ウクライナの問題について、我々は米国にNATOのパートナーとして参加し、共通の敵を止めるために我々を助け、ウクライナに援助を与えてほしいと要求するが、米国がイランという共通の敵を止めようとしているときには、我々は一切そのような協力はしない」
その結果、ヨーロッパ諸国は冷遇されて影響力を失い、激怒している。そして、アメリカの指導者と2人の独裁者による現実主義的な会談の意図を、自分勝手に歪めて描写しているのだ。
しかし安心してほしい。トランプやマルコ・ルビオらアメリカ政権は、自分たちが誰と交渉しているのかを痛いほどよく分かった上で、しっかりと状況を把握している。
(ヘリテージ財団の出版物であるデイリー・シグナルからの許可を得て転載)

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