中国共産党(中共)の第20期中央委員会第5回全体会議(五中全会)を控え、全国政治協商会議(政協)副主席の胡春華が重要行事を欠席し、さまざまな憶測が広がっている。中共内部の事情に詳しい情報筋は、欠席の理由を体調不良と説明する一方、胡春華の政治的復権は難しいとの見方を示した。
10月22日、中共は北京の人民大会堂で、紅軍の長征勝利90周年を記念する大規模な大会を開いた。
中共中央テレビのニュース番組が放送した映像には、党や国家の高官らが主席台に着席する様子が映っていたが、胡春華の姿は確認できなかった。
胡春華が重要行事を欠席したことで、さまざまな憶測が広がった。その後、胡春華と家族の「連絡が取れなくなっている」との情報も流れた。
しかし、中共最高指導部に近い内部関係者の懐明(仮名)氏は10月24日、大紀元に対し、胡春華は体調不良のため欠席したと説明した。高官も病気になることはあるという。
胡春華の政治的復権は困難か 内部関係者が証言
最近、胡春華が再び要職に就くのではないかとの噂が相次いでいる。
しかし、懐明氏は、胡春華が中央政治局委員から政協副主席に事実上降格された時点で、権力中枢への復帰はもはや望めなくなったとの見方を示した。
一方、胡春華が今後、摘発される可能性も否定できないという。
懐明氏によると、中共指導部の権力闘争には「昇進できなければ失脚する」という暗黙のルールがある。目指していたポストに就けなければ、逆に摘発される恐れもあると説明した。
「昇進できなければ、失脚に追い込まれやすくなる。今はまさにそういう状況だ」
懐明氏は、その例として、元中央政治局委員の馬興瑞を挙げた。
馬興瑞も昇進を目指しており、何もなければ2027年の指導部交代で中央政治局常務委員に昇格する可能性があった。しかし、昇進を待たずに失脚したと指摘した。馬興瑞は今年4月に失脚した。
胡春華と家族の「連絡途絶説」 内部関係者が否定
ネット上で広がった胡春華と家族の連絡が途絶えたという噂について、懐明氏は事実ではないと否定した。
最近、競馬クラブの集まりで胡春華の息子を見かけたという。
「商談だったのか、友人との集まりだったのかは分からないが、競馬クラブの集まりで胡春華の息子を見かけた。彼はれっきとした実業家だ」
懐明氏は、胡錦濤を中心とする共産主義青年団(共青団)出身者の派閥、いわゆる「団派」の幹部は、金銭よりも権力への関心が強いと語った。
「団派の人々は権力に強い執着を持っているが、金もうけにはそれほど熱心ではない」
懐明氏によると、李克強の家族もそれほど多くの資産を持っていなかったという。
「黄奇帆(元重慶市長)らは汚職で数十億元を手にしていた。李克強(元首相)の妻も国有企業と協力関係にあったが、数億元を用意しろと言われても出せなかっただろう。数百億元も蓄財していない首相の家族などいるのか、という話だ」
さらに、革命元老の子孫を指す「太子党」は、三代にわたって蓄財に熱心だったと主張した。
一方、団派の幹部は共青団中央の出身者や学者肌の人物が多く、私腹を肥やす手口にもそれほど詳しくないという。
懐明氏は、元中共統一戦線部長の令計画の息子が不適切な行動を取った例を除けば、胡錦濤の息子も大きな事業には手を出していないと述べた。
また、汪洋元副首相の娘については、父親の権力によって事業上の便宜を得た可能性はあるものの、行き過ぎた行動はしていないとの見方を示した。
懐明氏は、李克強や胡春華がこれまで汚職問題で摘発されなかった理由についても言及した。
「ほかの高官の家族と比べれば、彼らの資産など端数にも満たない。それでどうやって失脚させるというのか」
胡春華は粛清対象か 専門家は慎重な見方
中国問題の専門家、李林一氏は大紀元に対し、中共の意思決定は不透明であり、高官が重要会議を欠席する理由もさまざまだと指摘した。
ただし、重い病気など特別な事情がない限り、通常はこうした会議を欠席しないという。
胡春華が権力闘争によってさらに粛清されるのかどうかについては、現時点で判断できないとし、今後、公の場に姿を見せるかどうかを確認する必要があると述べた。
独立評論家の蔡慎坤氏も、胡春華が調査対象になったかについて慎重な見方を示している。
蔡氏は10月23日、Xへの投稿で、五中全会を前に、すでに習近平に従っている団派の生き残りである胡春華を粛清しても、習近平にとって何の意味もないと指摘した。胡春華は習近平の続投を脅かす存在ではないという。
一方、胡春華が2027年の第21回党大会まで現在の地位にとどまれば、習近平にとって人事をめぐる頭痛の種になるとも指摘した。
胡春華は2027年時点でも、正部級幹部が第一線から退く一般的な年齢には達していない。そのため、第21回党大会でも引き続き中央委員にとどまる可能性がある。
一方、政協に引き続きとどまることは難しく、全人代に異動させれば、党内での序列がかえって上がることになりかねない。
蔡氏は、胡春華の今回の欠席について、病気だったか、北京を離れていた可能性もあるとして、結論を急ぐべきではないと強調した。
また、五中全会の直前に中央政治局が胡春華の政治的な処遇を議論する確率は低いとの見方を示した。
「五中全会に胡春華が姿を見せるかどうかを確認したい」
かつての後継候補・胡春華 党大会で事実上降格
胡春華はかつて、団派の代表的人物である胡錦濤から、次の世代の最高指導者候補に指名された。2022年の中共第20回党大会では、中央政治局常務委員への昇格が有力視されていた。
しかし、同大会では胡錦濤が習近平の指示によって会場から連れ出された。さらに、李克強、汪洋、当時59歳だった胡春華はいずれも中央政治局から外れ、団派は中共最高指導部での影響力を大きく失った。
その後、胡春華は全国政協副主席に事実上降格され、近年は表立った活動も少なくなっている。

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