中国共産党外交部の郭嘉昆報道官は10月26日の記者会見で、福田康夫元首相の逝去に哀悼の意を示す一方、福田氏が日中間の政治文書を重視していたことを引き合いに、「日本の現政権を担う者たちは、自らを省みるべきだ」と注文をつけた。元首相への弔意を表明する場で、現政権に歴史認識や対中政策をめぐる姿勢の見直しを迫った形だ。発言を受け、SNS上では中共側の姿勢に反発する声も上がっている。
中共外交部 現政権に注文
郭嘉昆は会見で、福田氏について「中国人民の古くからの友人」と位置付け、日中関係の改善と発展に積極的に貢献したと評価した。
福田氏は首相在任中、日中関係に関する政治文書に署名。退任後には、「南京大虐殺記念館」を訪問したほか、長年にわたりボアオ・アジア・フォーラムの理事長を務め、アジア地域の交流や協力の促進に取り組んだ。
郭嘉昆は、福田氏が日中間の4つの政治文書について、両国関係が従うべき原則を定めたものであり、常に心に刻み、後戻りしてはならないと指摘していたことを紹介。「この発言は重みのあるものであり、日本の政治家の先達が持つ信義と責任感を示している」と述べた上で、「日本の現政権を担う者たちは、この言葉を深く受け止め、自らを省みるべきだ」と強調した。
弔意と功績への評価を示しながら、現政権に対して歴史認識や日中関係の在り方をめぐる注文を付けた格好だ。
中共の官製メディアの新華社通信も日本メディアの報道を引用し、福田氏の死去を速報したほか、国営中央テレビ(CCTV)系のニュースも福田氏が日中関係の安定に尽力した足跡を伝えた。
報道官の発言にSNSでは不快感示す声
一方、日本のSNS上では、福田氏への弔意を表明する一方で、日本の現政権に歴史認識や対中政策をめぐる反省を求めた中国側の発言に、不快感や反発を示す声が上がった。
元首相の逝去をめぐる追悼の場で、現政権に対して政治的な注文を付けたことに疑問を呈する意見や、日本の外交方針は日本自身が判断すべきであり、中共側から一方的に見直しを求められるべきではないとの声も出ている。
日中間には、1972年(田中角栄首相、大平正芳外相・周恩来)の日中共同声明、1978年(福田赳夫首相、園田直外相・鄧小平)の日中平和友好条約、1998年(小渕恵三首相・江沢民)の日中共同宣言、2008年( 福田康夫首相・胡錦濤)の福田康夫首相と中国の胡錦濤国家主席の日中共同声明という4つの主要な政治文書がある。両国関係の基礎をなすこれらの文書をどう解釈し、現在の外交政策に反映させるかは、日中関係を左右する重要な論点となっている。
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