中共 営業秘密の新規則制定 投資誘致規制と矛盾

2026/11/02
更新: 2026/11/02

最近、中共商務省は新たな規則案(意見募集稿)を公布した。中国の営業秘密を侵害し、国家の主権・安全あるいは発展の利益を害したと認定された外国の実体に対し、中国国内での投資を制限・禁止するほか、人員の入国や就労・在留資格まで制限するという内容だ。外資の流入が減少し続け、当局が積極的に投資誘致を進める中、新規制の背後にはどのような思惑があり、どのような影響をもたらす可能性があるのか。

先月26日、中共商務省は全10条から成る「中国営業秘密保護特別規定(意見募集稿)」を公布した。

草案の規定によれば、外国の企業・団体・個人が国際経済貿易などの活動において中国の営業秘密を侵害したと認定され、かつ中国の国家主権・安全・発展利益を害した、あるいは現実に脅威を及ぼす可能性があると判断された場合、当局は中国国内での新規投資、ならびに関連する物品・技術の輸出入を制限または禁止することができる。

草案はまた商務省に調査権を付与しており、調査対象者に調査への協力と資料の提供を求めている。協力や調査を拒否したりした場合、当局はすでに把握している事実に基づいて決定を下すことができる。どのような状況が「現実の脅威」に当たるのか、また被害の程度をどのように認定するのかについては詳細な説明はされていない。

大紀元のコラムニスト、王赫氏は、「中共は政策面での経験が豊富とは言えない。曖昧な定義で、運用の余地を残している。米国では法律が作られれば、あとは執行の問題になるが、中共体制では行政主導であり、国家権力そのものへの制約が欠けている。関係部門、商務省に大きな権限を与えている。しかもこれ自体、商務省が自ら制定した行政規則にすぎないのだから、商務省はやりたいようにやれるのだ」と指摘した。

新規制の公布の1週間前、米中はちょうど営業秘密問題をめぐって衝突したばかりだった。

米国務省は先月19日、「米国知的財産権保護法」を根拠に、米企業の営業秘密を窃取した疑いのある中国企業5社を制裁した。対象には、元Googleエンジニアの丁林葳氏が設立した上海至算科技有限会社、および投資機関「奇績創壇」が含まれる。

商務省は翌日、断固たる反対の意を示すとともに、必要な対抗措置を取ると警告した。

先月22日には、米財務省がさらに対外投資安全監督に関する草案を公布し、半導体、AI、量子情報、高性能演算などの分野への監督を拡大するとともに、脳とコンピューターをつなぐインターフェース関連技術を含む一部のバイオテクノロジーも規制対象に加えるとした。

台湾の南華大学国際事務与企業学系専任教授の孫国祥氏は、北京は新規制が米国を標的にしているとは明言していないものの、その公布のタイミングは米中間のハイテク分野における制裁の激化と密接に関係していると指摘している。

台湾南華大学国際事務・企業学系専任教授の孫国祥氏は、「時系列から判断すると、今回の措置には確かに、米国側に対等な対抗能力を示し、外交交渉の切り札を増やすという狙いがあるといえる」としている。

一方、「米国の法律には、重大な窃取を認識していたこと、支援や指示を行ったことなど明確な認定条件が定められており、議会への報告も義務付けられている。これに対し中共側の草案は、『現実の脅威』の判断基準や調査手続きについての説明が少なく、両者の明確さにはなお差がある」と語った。

一方、中共は6月、外資安定化のための行動計画を打ち出し、サービス業、金融、医療などの分野での対外開放を拡大するとともに、外資企業の越境経営を円滑化し、「投資中国」を宣伝してきた。

大紀元コラムニストの王赫氏は、中共が投資誘致と安全管理という2つの政策目標を同時に推し進めようとしていると指摘している。

「中共は、現在のように経済全体が揺らいでいる状況下では、外資・外国貿易を安定させようとする。そのために多くの政策を打ち出さねばならない。しかしもう一方で、2つの警戒心を持っている。一つ目は、外資があまりに急速に逃げ出すことへの恐れだ。だからこそ今年の年初、サプライチェーンに関する法規を公布したのではないか。これは外資にサプライチェーン全体を持ち去らせないためのものだ。もう一つは、対抗手段を手元に残しておきたいということであり、特に一部の米国企業を人質のようにして米国を脅す狙いがある」

孫国祥氏は、新規制の施行後、外資企業はコンプライアンス上のジレンマに陥り、投資への信頼がさらに損なわれると予測する。

「企業が資料を提出すれば機密情報の漏洩や現地法との抵触を招く恐れがあり、提出しなければ当局が既存の資料だけで不利な判断を下す可能性がある。今後も明確な基準や実効性のある救済措置が整わなければ、企業はリスクを見通せず、技術協力の縮小や投資の先送りに加え、恣意的な法執行や商業紛争の政治化への懸念も強まり、外資安定化政策の効果が損なわれる恐れがある」

データによれば、中国の今年1月から9月までの実際の外資利用額は約5488億人民元で、前年同期比4.3%減だった。新設外資企業数は約4万7800社で、前年同期比2.3%減となった。

当局は、外資誘致が直面している逆風の要因を、地政学的な対立、経済成長の勢いの弱まり、および保護主義に帰している。