財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は14日、「社会保障に係る安定財源確保についての論点整理」をとりまとめた。論点整理では、安定財源として「国民全体で広く公平に負担するもの」で「経済動向等に左右されにくい」ことを強調しており、消費税の社会保障目的税化の必要性を示唆する内容になっている。
論点整理は、4月の経済財政諮問会議での与謝野経済財政・金融担当相の要請を受け、谷垣財務相が財政審にとりまとめを依頼していた。きょうの歳出・歳入一体改革に関する建議とともに、谷垣財務相に手渡されている。
論点整理では、社会保障給付に係る公費負担の長期試算を行っており、1)厚生労働省の推計に基づく自然体(ベースライン)、2)過去5年間の社会保障制度改革の公費削減と同程度の削減努力を継続(試算2)、3)基礎年金国庫負担割合の2分の1への引き上げを除く社会保障給付の公費負担を経済成長率並みに抑制(試算3)――の3つのケースを想定した。
それによると、ベースラインでは、社会保障給付に係る公費負担が2006年度の28兆円から2011年度に36兆円、2015年度に43.5兆円にそれぞれ増大する。これを機械的に消費税率で換算すると、06年度は約12.5%で、11年度は約14.5%、15年度は約15.5%に相当する。
公費負担を抑制した試算2や試算3では、ベースラインの消費税率よりも0.5%─2%相当が抑制できる計算になるという。
財源に対する考え方については「現世代の負担によって安定的な財源を確保することが合理的」とし、具体的には「国民全体で広く公平に負担するもの」、「経済動向等に左右されにくい」などを挙げ、消費税の社会保障目的税化の必要性を示唆するものとなっている。
(ロイター6月14日=東京)
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