米上院、非常事態宣言を解除する法案を可決 大統領は拒否権発動の構え

2022/03/07
更新: 2022/03/07

米上院は3日、新型コロナウイルス感染症に対処するための非常事態宣言を解除する法案「S.J.Res.38」を48対47の僅差で可決した。法案は民主党が多数派の下院へ送られ、審議される。バイデン大統領は拒否権を発動するとホワイトハウス発表した。

共和党議員全員が賛成票を投じ、民主党議員全員が反対票を投じた。民主党議員3人を含む5人の上院議員が投票に参加しなかった。

米国では2020年3月13日、新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のためにトランプ大統領が非常事態を宣言した。バイデン政権誕生後に2度延長されている。

法案を提出したロジャー・マーシャル上院議員は医師でもある。マーシャル氏は投票後の声明で「非常事態の下で2年近く生活した米国民は疲れ果て、自由に呼吸することを切望している。彼らは、神から与えられた自由と、彼らの味方となるリーダーを求めている」と語った。

上院院内総務のチャック・シューマー議員は投票が始まる前、上院議員に反対票を投じるよう促した。コロナウイルスに新しい亜種が出現するかもしれず、非常事態宣言を解除する適切な時期ではないと主張した。

これに対しマイク・ブラウン議員は、ワクチン接種と自然免疫の獲得で「国民の大多数はすでに保護されている」と反論した。そして「大統領や州知事が、非常事態宣言の下で与えられた追加の権限を手放す時がきた」と述べた。

上院を通過した法案は民主党が多数を占める下院に提出され、審議される。しかし法案が下院で可決した場合でも成立は難しいようだ。ホワイトハウスは3日、バイデン大統領は同法案について拒否権を発動すると明らかにした。

「新型コロナウイルス感染症に対応する行政の能力を不必要かつ突然縮小することになる」「(政府)権限を時期尚早に終わらせる議会の動きは、無謀であり浪費を生む誤りである」とホワイトハウスは宣言解除に反対する理由を説明した。「ウイルスは引き続き米国の国民と医療制度にとって脅威である。将来発生し得る変異株にも備えなければならない」。

米国法の規定では、上下両院の3分の2以上の賛成がなければ、大統領の拒否権を無効にすることができない。

(文・Zachary Stieber/翻訳編集・王文亮)