中共の対日強硬路線 その狙いは何か

2026/01/14
更新: 2026/01/14

中国共産党(中共)は2021年に日本と決裂していたが、2025年に入って日中関係は安定へと向かい始めていた。10月31日には、習近平がアジア太平洋経済協力会議(APEC)の場を利用し、日本の新首相・高市早苗氏と非公式会談を行っている。

しかし、その1週間後、高市首相は国会答弁において、「政府の従来の見解に基づき」中国共産党が台湾に対して武力を行使した場合、日本の自衛隊が集団的自衛権を行使し得る「存立危機事態」に該当する可能性があると述べた。

日本政府が一貫した立場を変更していないと繰り返し強調したにもかかわらず、中共はこれを口実に激しく反発し、ほぼ毎日のように新たな措置を打ち出し、日中関係は全面的に悪化した。

外交戦

中国共産党は、まず日中間の二国間交渉の場において、高市首相に対し発言の撤回を強硬に要求した。さらに、現時点では日中韓首脳会議を開催する条件が整っていないとして、対話の枠組みそのものを事実上棚上げにした。

その後も圧力は拡大し、中共の王毅外相は第三国との会談の場においても、高市首相の行動を「誤ったもの」として繰り返し批判し、相手国に対して中国側の「正当な立場」への理解を求めた。問題は二国間にとどまらず国際舞台へと持ち込まれ、中共の代表は国連事務総長に対して2度にわたり書簡を送り、国連安全保障理事会の会合においても高市首相を名指しで非難した。

さらに中共は、『国連憲章』に規定されているいわゆる「敵国条項」を持ち出し、これを大々的に宣伝。同条項は、第二次世界大戦の敵国であったドイツ、イタリア、日本などが再び報復行動を取ることを防ぐため、戦勝国が国連安全保障理事会の事前承認なしに特定の行動を取ることを認めた規定だった。しかし1995年の国連総会や2005年の国連首脳会議では、すでに時代遅れとなった「敵国」表現を削除するため、『国連憲章』の改正手続きを開始する決議が採択されており、中共自身もこの国際的な共通認識に加わっていた。

 

経済戦

経済分野でも、中国共産党は段階的に圧力を強めた。まず、2年以上ぶりに再開されたばかりの日本産水産物の輸入を、再び停止した。さらに訪日観光にも制限を加え、中国国内の大手旅行会社に対し、日本向けビザ申請数を削減し、訪日客数を従来の6割程度に抑えるよう求めた。

中国外交部は繰り返し安全に関する注意喚起を発表し、中国国民に対して当面日本への渡航を避けるよう呼びかけた。これに呼応する形で、中国の航空会社6社は、日本路線の航空券について変更およびキャンセル手数料を免除すると発表し、日中間の航空便は大幅に削減された。その結果、約46路線が「運航ゼロ」の状態となった。

加えて、中国共産党は軍民両用物資の日本向け軍事用途輸出を禁止し、域外適用も行う姿勢を示したほか、日本産の二塩化二水素ケイ素、いわゆる「262金シリコン」に対して反ダンピング調査を開始した。さらに、日本向けレアアース輸出を制限する可能性についても示唆している。

軍事的威嚇

軍事面でも、中国共産党は日本に対する威嚇行動を相次いで強めた。2025年11月17日から19日にかけて、中国共産党軍は黄海中部海域で実弾射撃演習を実施した。12月6日には、中国共産党のJ-15戦闘機が、日本のF-15戦闘機に対して断続的に火器管制レーダーを照射した。これは軍事的には攻撃の可能性を示す行為とされる。

その3日後の12月9日には、中露第10回共同戦略空中哨戒が行われた。この哨戒では、飛行区域が初めて日本の四国周辺海域以遠まで拡大したことに加え、中露の共同戦略空中哨戒が、中国共産党海軍の空母編隊による西太平洋での遠海訓練と同時に実施されるという、二つの「初」が重なった。

日本のテレビ朝日によると、「遼寧」編隊が日本の九州から最接近時で約400キロの距離まで迫ったと報じ、これは前例のない事態だった。日本政府は、中共の空母が南西諸島周辺で演習を常態化させることへの警戒を強めた。さらに12月29日から31日にかけて、中国共産党は戦区の陸軍、海軍、空軍、ロケット軍を動員し、台湾周辺で軍事演習を実施したが、これも日本に対する威嚇の意味を含んでいる。

文化交流の制限

文化分野においても、中国共産党は日本との交流を急速に遮断した。日本の文化産業を対象とする禁止や制限措置が次々と打ち出され、映像作品の放映、アニメ関連イベント、芸能活動などが制限の対象となった。その結果、日本の芸能人による中国での公演はすべて中止された。

会場側には、2026年に日本人芸能人の公演申請を提出しないよう求められ、主催者には日本人芸能人に関するいかなる宣伝情報もファンに送らないよう命じられた。この過程で、中国のファンに大きな衝撃を与えた出来事もあった。浜崎あゆみの上海公演は、開演直前に「不可抗力」を理由に中止されたが、浜崎あゆみは無人のステージで公演を完遂し、その様子を自身のSNSに投稿した。

世論戦

世論面でも、中国共産党は集中的な情報発信を展開した。官製メディアは「琉球の地位未確定論」を全面的に喧伝し、日本の沖縄に対する主権を疑問視した。米国のメディア監視会社Meltwaterの分析によれば、11月には中国本土および香港のメディアで「琉球」「独立」といったキーワードが大量に使用され、関連記事の数は前年同月比で約20倍に増加し、30数本から600本以上に急増した。しかも、そのほぼすべてが、高市早苗が国会で「台湾有事」について答弁した後に集中している。

同時に、中国共産党は「日本の梅毒」を強調する報道を展開した。新華社が日本のメディアや日本政府のデータを引用して報じた後、複数の官製メディアや地方メディアのアカウントが相次いで転載し、関連内容は急速にウェイボ(微博)のトレンド入りを果たした。拡散が進むにつれ、世論は次第に「日本は安全ではない」「行く価値がない」という方向へと誘導されていった。

以上から分かるように、今回の中共による対日攻勢は、範囲の広さ、強度の大きさのいずれにおいても異例であり、2012年の日中対立をはるかに上回り、2020年以降の中印関係悪化をも凌ぐものだった。

2012年、日本政府が尖閣諸島を「購入」し「国有化」したことで日中関係は急激に悪化したが、その一方で、円と人民元の直接取引が開始され、米ドル以外で初めて人民元と直接取引される通貨となった。また、日中韓は東アジア自由貿易圏の交渉で前進を見せた。

2020年のガルワン渓谷での国境衝突により中印関係は数十年ぶりの低水準に落ち込み、インドは中国製スマートフォンアプリ数百本を禁止し、中印貿易摩擦が激化し、中国とインド間の直行便も停止された。しかし2024年以降、中共はさまざまな圧力の下で明確な譲歩を行い、中印関係は正常化プロセスに入った。

国際社会が注目しているのは、今回の中共の対日攻勢が「戦術的圧力」なのか、それとも「戦略的決裂」なのか、現在の日中膠着状態が「準冷戦状態」あるいは「地域的冷戦」の危険信号なのか、という点である。

本稿は、中国共産党の今回の一連の圧力は大部分が戦術的なものだが、中共は戦略的な目的、すなわち日本が台湾海峡戦争に軍事介入する意志を持つかどうかを試していると見ている。中国本土メディアの分析によれば、日本を制裁対象に選んだのは、一部政治家の発言だけが理由ではなく、日本には三つの顕著な特徴があり、最も適した試金石だからである。

第一に、日本は先進国の中で唯一、今も高付加価値製造業を一貫して自国内で担える体制を保っている唯一の国である。第二に、日本は中国市場、中国の原材料、中国の工場生産能力への依存度が極めて高い。第三に、日本は政治的には米国に追随しているが、経済的には中国とのデカップリングが極めて困難である。日本に圧力をかけることで、日本の真の反応を最も直接的に観察できる。

本稿は、日本が強硬に対抗すれば、中共は引き際を見極め「準冷戦状態」や「地域的冷戦」に発展する可能性はむしろ低いと判断する。一方、日本が弱腰で妥協すれば、中共は日本の弱点を掴み、繰り返し揺さぶりをかける可能性がある。

中共が台湾の武力統一について最終決断を下していない限り、日本と「戦略的決裂」に踏み切る可能性は低い。逆に、中共が日本と本当に「戦略的決裂」に至った場合、台湾海峡戦争の勃発も遠くないだろう。

もちろん、上記の要因に加え、今回の対日攻勢は中国国内の状況とも関係している可能性がある。日本メディアの分析によれば、高市首相は国会答弁で台湾有事の際に取るべき「具体的措置」には言及しておらず、中共は比較的穏健な対応、例えば高市首相への抗議だけにとどめる選択もできたはずである。

それにもかかわらず、一連の強硬措置を取ったのは、軍の混乱、経済の悪化、そして習近平自身の健康状態という三つの懸念を覆い隠すための虚勢である可能性もある。

実際のところ、中共は必ずしも日本を追い詰める勇気があるとは限らない。なぜなら、日本にも強力なカードが存在するからである。

中国共産党が最も警戒している日本の三点は、(1)武器輸出制限の解除によってアジア太平洋地域の通常戦力バランスを変えること、(2)「非核三原則」を修正し、核の敷居を越えること、(3)情報収集・監視能力を強化することである。これに加え、日米同盟および日米軍事一体化の加速という巨大な戦略資源がある。

現時点で、中国共産党の圧力に直面しても、高市早苗は後退する姿勢を見せていない。さらに重要なのは、高市首相が国内で高い支持率を維持していることである。高市首相は衆議院を解散して総選挙に踏み切り、自民党が衆議院で単独過半数を獲得することを目指すことも可能であり、現在の状況(衆議院では無所属議員の取り込みによって過半数を維持し、参議院では少数与党)を打破し、より有利な政治的立場を得て、中国共産党の脅威に強硬に対処することができる。

中国共産党の思惑は、今回は外れた可能性が高い。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
王赫