1月27日、米国はパリ協定から正式に離脱した世界で唯一の国となった。トランプ米大統領はこれまで何度もこの協定は米国の価値観や経済・環境目標に合致しないと表明してきた。
トランプ氏は昨年1月20日の就任当日に大統領令に署名し、米国の国連大使に対し、ただちに国連へ離脱の通告を行うよう指示した。
パリ協定では、締約国が正式に離脱するためには、少なくとも1年前に通告を行う必要があると定められている。このため、米国は今年1月27日になって、正式に離脱手続きを完了した。
トランプ氏は大統領令の中で、こうした国際協定は「米国の価値観および経済・環境目標にそぐわない」と指摘し、さらにその仕組みは米国の納税者の資金を、「支援の必要も価値もない国々」に移転させるものだとし、米国の主権と経済力を損なっていると批判した。
大統領令ではさらに、米国経済に損害を与える可能性のある国際協定の策定や交渉にあたっては、米国および米国民の利益を最優先事項とする方針を明確にし、不合理または不公平な負担を米国に課す協定は認めないと強調している。
トランプ氏がパリ協定から米国を離脱させるのは2度目となる。1期目政権の2017年に離脱を表明し、2020年11月に正式発効した。その後、バイデン政権が2021年に再加盟した経緯がある。
パリ協定は、2015年に195の締約国によって合意された枠組みで、二酸化炭素などの温室効果ガス排出を削減し、地球の平均気温上昇を産業革命以前の水準から2度未満、可能であれば1.5度以内に抑えることを目標としている。
トランプ政権は一貫して米国のエネルギー自給体制の強化を訴えてきた。重点分野は石油、天然ガス、石炭、核エネルギーなどである。トランプ氏は、人工知能やデータセンターの急速な発展により、米国のエネルギー需要が増加していると指摘し、手頃で信頼性の高い国内エネルギー資源の開発を加速させる必要があると強調した。
トランプ氏は繰り返し、パリ協定は米国に対するゆすりだと主張している。なぜなら、この協定は米国に高額な排出削減コストを負わせる一方、中国やインドなどの発展途上国にはより緩やかな排出枠を認めているためである。同氏はまた、「この協定は外国政府が米国のエネルギー政策に口出しすることを許すものだ」と述べた。
2016年、当時のオバマ大統領は上院の承認を経ずに大統領権限を用いてパリ協定加盟を決定した。そのため、トランプ氏は行政命令の署名のみで離脱を容易に実行することができた。
今回の離脱は、トランプ政権による多国間機関への包括的な見直しの一環でもある。パリ協定に加え、米国は1月22日にWHOからも離脱した。近く「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」を含む、国連支援の気候および社会正義関連の66組織からの離脱を発表している。
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