浙江省汚染問題深刻化、万人暴動相次ぐ

2005/07/25
更新: 2005/07/25

【大紀元日本7月25日】化学工業による汚染が深刻化した浙江省では、長期に亘る住民の抗議に対して、政府側が問題視せず放置したことがきっかけで、7月4日から17日の間、嵊州、新昌において万人にのぼる大規模な暴動が発生。農民は警察の車を横転し、警察に向けて投石、警察側は催涙弾を発射するなどの状況に陥り、暴動は数時間も続いた。

事の発端は京新薬業原料薬廠で起きた爆発事故及び当工場から流出した産業廃棄物による環境汚染問題への不当な対応だった。

ニューヨーク・タイムズ紙は、当製薬工場の廃水が以前から既に住民が使用する水源を汚染していたという村民の情報を報道した。また、同社は今月、死に至る化学物質が充満した容器の爆発事故を起こし、工員が1人死亡。これらの汚染問題を引き起こした京新薬業原料薬廠に対して、村民の代表が健康診断及び工場近辺の住民達に医療保険を提供する賠償を求めた。しかし、工場側の警備員が交渉している村民代表を殴ったことで、村民の不満が一気に爆発し、工場側に対して閉鎖するよう要求した。地元の政府官員は事をうまく治めようと、個々の村民宅を訪ね、当件に対処することを約束した。その後、政府側は安全確認ができたとの理由で工場運転の再開を許可した。この決定に、村民は怒りを抑えることができず、7月17日、再び京新薬業原料薬廠に対して抗議行動を起こした。

地元の記者及びネット情報提供者によれば、7月15日、16日、17日の3日間、万人にのぼる浙江省嵊州市の民衆は7月4日の事件後に、再び京新薬業原料薬工場を囲んだ。今回の包囲は嵊州市及び各地鎮、村、町の住民の声援も受けた。現場で秩序を維持する紹興市行政及び嵊州市、新昌県派出所の政府側人員は群集と正面衝突した。中国大陸のメディアは新昌地域の暴動を続々と報道したが、中央政府宣伝部から中国国内における集団抗争事件の報道を厳しく禁ずる指示により、政府側の報道では暴動に参加した人数及び衝突の規模についてのものは一切ない。

ニューヨーク・タイムズ紙によれば、15,000人の農民が今回の抗議に参加したと報道。警察側は京新薬業原料薬廠に通じる道路の真ん中に障害物を置き、警備を強化。しかし、地元の住民達は当該製薬工場が引っ越すまでは抗議を続けると固い決意を示した。22歳の地元の村民は、これが問題解決の唯一の方法だと話した。

新昌県にある数箇所の製薬工場から排出された廃水などを含む産業廃棄物は、新昌及び嵊州との境の河川及び地下水、空気に対して既に10年前から汚染問題が続いている。製薬工場半径十数キロメートルに及ぶ万人以上の地域住民は何年もの間被害を受け続けている。また、嵊州にある曹娥江流域は、城関より下流にまで及び、曹娥江から水を引いている寧波市の一部地域住民の用水も汚染により水質が悪くなり、嵊州市及び新昌地区の都市開発に影響を与えた。過去10年間、嵊州市、紹興市の人民代表大会、政治協商会議の代表が政府に対して何度も議案を提出したが殆ど反応はなく、住民達は政府に対する信頼を失った。被害を被った住民達の話によれば、製薬工場近辺に住む若者の中で、ここ数年、国の徴兵制度の健康診断に合格した人は一人もいないという。また、浙江腫瘍医院に入院治療している人数は新昌及び嵊州両地域の比率が他の地域に比べ明らかに高いという。腫瘍患者の人数が高い原因は、彼らが長期に亘り汚染された空気と水に晒されていたからであろう。

浙江省はこれまで厳しい汚染問題を抱えてきた。浙江省の河川は著しい汚染により養殖魚が相次いで死亡。2004年、温州での政府会議の期間中に、130あまりの養殖業者が法律の手続きに則って環境保全部門に対して起訴した事件が起きてから一年以上も経ったが、行政側からの調査はなく、処理もないまま放置されている。

さらに6月26日、浙江省呉江の恆祥酒精有限会社は、40トンに及ぶ高濃度のCOD廃液を、ポンプを使って瀾渓塘河へ廃棄したため、河川が黒く変色し、下流の嘉興県に住む30万人の飲用水の安全を脅かした。国家環境保全総局の調査により、当企業は環境を破壊する秘密の廃水通路などを使い、違法行為を行っていることが分かった。

また、新昌、嵊州のほか、著名な銭塘江及び下流の蕭山地区の半径十数キロメートルに及ぶ地域の水は、一部の化学工場からの工業廃水によって汚染され、水質は極めて早い速度で悪化した。蕭山地区赭山街村及び塢裡村は発ガン率の高い村とされている。村の死亡人口のうち、ガンで亡くなった人は80%を占めるという。1000人以上の村民が連名で「我々は生きたい!我々は健康になりたい!銭塘江を救ってください!」と呼びかけるほど事態は深刻化。

(記者・趙子法)

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