大紀元時報

ベルギーに中国スパイ暗躍、ブリュッセル足掛かりに欧米を狙う

2019年12月03日 15時32分
ベルギーのブリュッセルにあるNATO本部(GEORGES GOBET/AFP via Getty Images)
ベルギーのブリュッセルにあるNATO本部(GEORGES GOBET/AFP via Getty Images)

英ロンドンで12月3日と4日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が開催される。欧州の外交政策研究機関は、NATOの本部や欧州連合(EU)などの主要機関が多く集まっているベルギーの首都ブリュッセルが、中国スパイの主要活動拠点だと指摘した。同国と欧州連合は、中国の諜報活動に警戒を強めている。フィリピン有力紙「Business Mirror(ビジネス・ミラー)」が12月1日報じた。

「250人の中国人スパイ」

昨年10月、ベルギー政府は、欧米の航空業界の重要技術情報を盗もうとした中国人工作員の男の身柄を米国に引き渡した。米司法部は、男の逮捕・起訴にベルギー政府から「多大な協力を得た」とした。逮捕されたのは中国国家安全部の下部機関、江蘇省国家安全庁の職員のシュイ・ヤンジュン(Xu Yanjun)被告。米ゼネラル・エレクトリック(GE)傘下子会社、GEアビエーション(GE Aviation)などの機密情報を不正に入手しようとした。ベルギーで協力者と会った後、拘束された。

ベルギーの情報機関当局、国家安全保障局( Veiligheid van de Staat – Sûreté de l’Etat , VSSE)は、国際機関の本部が多く集まっているベルギーはスパイの主要拠点で、国内にいるスパイの人数は冷戦時と同じだとの認識を示した。中国当局のスパイは、各国の外交官や議員と軍関係者が集まる首都のブリュッセルで暗躍している。

今年2月、ドイツ紙ディ・ヴェルト(Die Welt)は、EUの外交政策を所管する欧州対外行動局(European External Action Service)の未公開の調査報告を取り上げた。この調査報告によると、ブリュッセルで諜報活動を行っている中国人スパイは約250人いる。ロシア人スパイより多いという。中国の駐ベルギー大使館は、同報道に「非常に驚いた」とし、「根拠がなく、ねつ造だ」と反論した。

その一方で、ベルギー政府は中国人スパイへの取り締まりを強化した。ベルギー政府は10月末、ブリュッセル自由大学内にある中国語教育機関「孔子学院」の宋新寧院長に対して、スパイ容疑で入国を禁止した。孔子学院は、中国当局が海外に設置したプロパガンダ機関だとされる。

米政府は近年、米企業のハイテク技術の機密情報を窃盗しようとする中国当局に対して警戒を強めた。このため、中国当局は、技術窃盗の標的を欧州諸国に移した。

ビジネス・ミラーの報道によれば、中国当局者と20年以上の付き合いがある元英国外交官のチャールズ・パートン氏は、「中国スパイの諜報活動は10年前、さらに20年前と比べて活発化している」と指摘した。

報道は、ベルギーのエリート層の中国共産党政権に対する「甘い認識」が、スパイの暗躍と、同国における中国当局の影響力の拡大を招いたとの見方を示した。ベルギー政府は過去、エネルギーやハイテク技術分野で中国企業の進出に歓迎的な態度を示していた。

元中国外交官のワン・イーウェイ(Wang Yiwei)氏は「ベルギーは中国が必要とするハイテク技術を持っている」「ブリュッセルを通して、(中国は)欧州、さらに米国にアクセスできる」と話した。

しかし、ベルギー政府は近年、中国当局のスパイ行為による安保上の危害を危惧し始めた。2016年、中国国営送電大手の国家電網公司のベルギーの配電大手エアンデイス(Eandis)に対する出資について、国家安全保障局は報告書を発表し、「極めて慎重を要する」と警告した。国家安全保障局は、ベルギーの技術が中国軍当局に利用される可能性があると懸念した。

ビジネス・ミラーは、専門家の話として、ベルギーの各政府機関の間で、中国当局による安保上の脅威について足並みがそろっていないと指摘した。

EUの新指導者に対中強硬派

12月1日、ドイツの前国防相であるウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が率いる新しい欧州委員会が発足した。中国問題で強硬的な姿勢を示すフォン・デア・ライエン委員長は今年1月、ドイツメディア「ディー・ツァイト (Die Zeit)」のインタビューで、中国当局について「親切な顔をしてEUを騙そうとしている」と糾弾した。フォン・デア・ライエン氏は、中国の狙いは「EUを経済的に中国に依存させ、その過程で影響力を増大させていくことだ」との見解を示した。また、同氏は国民を全面的に監視する中国当局の政治体制は長くは続かないと強調した。

ドイツメディアは、フォン・デア・ライエン体制の下で、EUは対中政策において強硬姿勢を示すとの見方を取っている。

トランプ米政権、NATO加盟国に「5Gから中国企業を排除せよ」

12月2日、トランプ米大統領はNATO首脳会議に出席するため、ワシントンを出発した。

米メディアによると、トランプ政権の高官は、大統領は今回の会議において、NATOおよび国際社会が中国共産党とロシアからの安保上の脅威に対応策を急ぐ必要があると訴え、NATO加盟国に中国企業を次世代通信規格(5G)ネットワークから排除するよう促す予定だと明らかにした。高官は、中国当局が、現在NATOが直面している最大懸案であると指摘した。

ポンペオ米国務長官は2日、ブリュッセルに本部を置く新聞紙「ポリティコ・ヨーロッパ」に寄稿した。長官は、重要なインフラである5Gの構築に「信用できる企業を起用すべきだ」と強調した。

また長官は、欧州各国がこの重要なインフラ設備の支配権を「ファーウェイやZTEなどの中国IT大手に渡してはならない。これは非常に重要である」とし、ファーウェイがスパイ活動やハイテク技術の窃盗に関わった事例を挙げた。

ポンペオ氏は「5Gに関して、中国当局はファーウェイ、またはZTEのアクセス権限を利用して、個人情報や機密情報を盗むことができる」との認識を示した。

同氏は11月、訪問先のドイツで行った演説でも、「ファーウェイは中国当局に管理されている」と述べ、欧州各国に5Gから同社を締め出すよう呼び掛けた。

(翻訳編集・張哲)

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