大紀元時報

アングル:「白人男性中心」から変わるFRB 遅くとも着実な成果

2020年03月11日 02時58分
FRBは「白人男性」の比率が高すぎると以前から批判されていたが、昨年、重要な一線を越えた。全米12地区の連邦準備銀行の取締役会に占める白人男性の比率が半分を割ったのである。写真はワシントンのFRB本部。2019年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)
FRBは「白人男性」の比率が高すぎると以前から批判されていたが、昨年、重要な一線を越えた。全米12地区の連邦準備銀行の取締役会に占める白人男性の比率が半分を割ったのである。写真はワシントンのFRB本部。2019年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

Ann Saphir and Lindsay Dunsmuir

[サンフランシスコ/ワシントン 27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は「白人男性」の比率が高すぎると以前から批判されていたが、昨年、重要な一線を越えた。107年の歴史のなかで初めて、全米12地区の連邦準備銀行の取締役会に占める白人男性の比率が半分を割ったのである。

こうした変化は1月の新たな人事によりさらに強まったが、FRB内部を除けば、ほとんど注目を集めていない。だが、こうした動きは、多様化が進んでいない政策担当者トップに関してもFRBが変革に動きつつあることをのぞかせている。

FRBは米国の金融政策を策定しているにもかかわらず、その人員構成は多様化が進む米国の姿を反映しておらず、その改善に向け、政治的な圧力を受けている。また、米国の幅広い要素を地区連銀の取締役会構成に取り込むことによって、経済の状況をもっと敏感に把握し、よりより政策決定につなげることができるだろう。

複数の現・元FRB政策担当者はロイターとのインタビューで、いま進んでいる変革の背景について、そう説明した。

 

< 「大きな改革が進行中」>

地区連銀取締役会のメンバー自身は政策担当者ではない。だが、12地区の連銀総裁、ワシントンのFRB理事5人で構成され、米国の金利を決定する定期会合(米連邦公開市場委員会、FOMC)の際に、連銀の経済展望が反映されている。

また、地区連銀取締役会の構成は、取締役会(正確には銀行出身ではない3分の2の取締役)が連銀総裁を任命するという点でも重要だ。

ロイターの分析によれば、この非常に影響力の強い地区連銀取締役会の構成において、白人男性の比率は、今や女性及びマイノリティに対して3分の1以下に低下している。

ラエル・ブレイナードFRB理事はロイターに対し、「これは、より多くの女性、より多くのマイノリティを登用するという取組みを、短期間のうちに非常に分かりやすく実現できる領域だ」と語った。「非常に大きな改革が進んでいる」

1月1日の時点で、全12地区の連邦準備銀行の取締役108人のうち、64人が女性、あるいは黒人、ヒスパニック、アジア系、あるいはネイティブアメリカン系の男性だった。さかのぼって2015年の時点では、108人中70人が白人男性だった。

各連銀9人で構成される取締役会のうち、6人は銀行以外の一般社会を代表する人物とされており、地元の財界、教育界、労働界のリーダーが選ばれることが多い。このうち3人はワシントンのFRB理事会により、3人は地元の銀行関係者により指名される。

残りの3人は、銀行界を代表し、連銀総裁の選任に参加することは法律で禁じられている。こちらに関しては、白人男性が過半数を占めており、非白人の女性は1人もいない。

それでも全体としては、連銀取締役会は、米国の企業社会に比べて多様性に富んでいる。

スペンサー・スチュアートが発表した2019年5月の報告によれば、S&P500に含まれる企業の取締役のうち、女性の比率は26%である。トップ200社の取締役に占めるマイノリティの比率は19%だ。下院金融サービス委員会の民主党議員らが今月発表した報告によれば、米国の大手銀行の取締役を見ると、女性の比率は30%、マイノリティの比率は20%である。

ロイターの検証では、地区連銀取締役の41%が女性、マイノリティが29%である。

 

<政治的圧力と内部の方針>

各地区の連邦準備銀行は、長年にわたり、幅広い産業・地域から取締役の人材を求めてきた。だが2011年、政府説明責任局(GAO)による監査では、連銀取締役会において女性・マイノリティの代表が「限定的」であるという結果が出た。

GAOからは、「FRB理事会が各地区連銀に対し、企業の最高経営責任者(CEO)に限定せずに取締役を選ぶよう指示する」という勧告が出された。

クリーブランド地区連銀のロレッタ・メスター総裁は、「ある組織の上層部にいる人々が取締役として完璧だということが認識できれば、もっと広い範囲の候補者から取締役を選べるようになる」と語る。クリーブランド地区連銀は、この5年間で多様性の推進という点で最も大きな進捗を見せた地区連銀の1つだ。

「中央銀行である以上、社会全体を反映しているべきだ」とメスター総裁はロイターに語った。

多様性の推進に関しては、取締役会レベルでのリーダーシップも必要だ。

 

<イエレン氏は多様性推進の取り組み強化>

史上初の女性FRB議長を務めたジャネット・イエレン氏は、2014年に議長就任後、ただちに多様性推進の取組みを強化したという。

「重要な課題なのに取組みが十分でなかったと思った」とイエレン氏は言う。彼女は、連銀取締役への任命に至る流れを改善しようと決意した。

地区連銀総裁4人がロイターに語ったところでは、取締役候補と考えられる女性・マイノリティのリストを常にチェックしており、地区連銀の取締役ポストに直近で空きがないときには、連銀の諮問委員や連銀支店の役員として採用しているという。

イエレン氏や他のFRB幹部らは、学術的な研究においても、ジェンダーや人種が混在する集団の方がよりよい判断に至るという結果が出ていることを指摘する。

アトランタ地区連銀のラファエル・ボスティック総裁は、「多様性があったおかげで、私の業務は、はるかに明快で正確かつ投機性の薄いものになった」と話す。

政治的な圧力があったのも事実だ。

2014年、活動家グループも「フェッドアップ」(「ウンザリ」という意味の言葉と連邦準備制度の通称「フェッド」を掛けた名称)が8月にワイオミング州ジャクソンホールで開催される会議にデモ隊を送り込み、FRBにおける多様性の欠如を特に強調した。

2016年には連邦議会も関心を示すようになった。連邦議会議員127人がイエレン議長(当時)に書簡を送り、FRBが「我が国の多様な利害関心をよりよく反映・代表するよう」促した。

「当然ながら、私はそうしたフィードバックに耳を傾けた」とイエレン氏は言う。

現在、2020年になっても、FRBの頂点における進捗(しんちょく)はまだ明確ではない。最も強い政策決定権を持つ3つのポストはいずれも白人男性に占められている。FOMCに参加する17人のうち、女性は5人だ。

だが、FRB当局者によれば、状況は変化しつつあるという。

2015年から2018年にかけて、7つの地区連銀が新総裁を迎えた。ミネアポリス連銀を率いるのはインド系移民の息子であるニール・カシュカリ総裁、アトランタ連銀のボスティック総裁は、FRB始まって以来の黒人の政策担当者であり、同性愛者だ。政策担当者のうち、非白人はこの2人だけである。またサンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁は、女性の同性愛者として初の連銀総裁となった。

厳格な退任規則があるため、今後数年以内に、少なくとも3つの地区連銀で新たな総裁を見つけなければならない。

「FRBに対する国民の信頼は非常に重要だ。奉仕する相手である国民に似た存在であると思われなければならない」とミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は言う。

だが、政治家や活動家はもっと踏み込むことを求めている。連邦議会下院は昨年9月、FRB首脳陣における多様性に対する「切迫したニーズ」に対応するため、連銀総裁を任命する際の面接に少なくとも1人の女性、1人のマイノリティを含めることを義務づけるという趣旨の連邦準備制度法改正を可決した。ただしこの法案は、上院で審議が止まっている。

「フェッドアップ」は来月、各地区連銀の取締役会において出身職種・業種の多様性が欠けていることを示す分析を発表し、改めてジェンダー、人種、民族の構成についても批判すると見られる。

 

<「多様性が多様性につながる」>

連銀総裁の人選は全国規模で行われるが、身内に近い候補者が選ばれることもある。2015年にフィラデルフィア連銀は同行の取締役の1人パトリック・ハーカー氏を新総裁に選んだし、2018年にはリッチモンド連銀が元アトランタ連銀取締役のトーマス・バーキン氏を新総裁に選んだ。どちらも白人男性である。

サンフランシスコ連銀でデイリー総裁の任命へと至る人選を主導したアレックス・メーラン取締役会長は、取締役会の多様性向上がもたらす社会的・職業的ネットワークの広がりが、候補者選びを改善していくことを期待しているという。

「多様性が多様性につながる」と同氏は言う。

不平等や人種、ジェンダーといった問題は、かつてはほぼ中央銀行の管轄外と見られていたが、今日ではFRBの政策担当者による談話のなかでも頻繁に取り上げられるようになり、FRBによるマクロ経済研究にも盛り込まれるようになっている。

たとえば12月に行われた会合では、FRB所属のエコノミストが、政策担当者に対して、さまざまな人種・学歴の労働者がリセッションにおいてどのような状況を迎えるかを示すプレゼンテーションを行った。

近年、FRBはエコノミストの採用体制も刷新し、研究アシスタントとしてキャリアを開始してもらうことに特に重点を置きつつ、女性・マイノリティを積極的に採用するようになった。ただし、エコノミストという職種全体を反映して、同僚には依然として白人男性の比率がかなり高い。

「私がこの仕事を始めたとき、なぜこの分野で自分がやっていけると思えるのか、と聞かれたものだった。女性であり母親である私が、なぜ成功できると思えるのか、と」とブレイナード理事は言う。「今では、こんなやり取りになるはずだ。『あなたが成功できることは分かっている。では、そのために我々はどんな貢献ができるだろうか』と」

(翻訳:エァクレーレン)

 

FRBは「白人男性」の比率が高すぎると以前から批判されていたが、昨年、重要な一線を越えた。全米12地区の連邦準備銀行の取締役会に占める白人男性の比率が半分を割ったのである。写真はワシントンのFRB本部。2019年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

 

 

FRBは「白人男性」の比率が高すぎると以前から批判されていたが、昨年、重要な一線を越えた。全米12地区の連邦準備銀行の取締役会に占める白人男性の比率が半分を割ったのである。写真はワシントンのFRB本部。2019年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

 

 

FRBは「白人男性」の比率が高すぎると以前から批判されていたが、昨年、重要な一線を越えた。全米12地区の連邦準備銀行の取締役会に占める白人男性の比率が半分を割ったのである。写真はワシントンのFRB本部。2019年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

 

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