大紀元時報

中国の南シナ海の軍事化、海運に影響 商船は迂回ルート EEZ資源搾取の懸念も

2020年10月01日 21時58分
南シナ海で米軍とフィリピン軍が訓練を行う中、同時に海上救難訓練を行う中国海警局公船(GettyImages)
南シナ海で米軍とフィリピン軍が訓練を行う中、同時に海上救難訓練を行う中国海警局公船(GettyImages)

中国は南シナ海で軍事化を進めている。これは、地域の商業海運にも大きな影響を及ぼしている。米メディア、ラジオ・フリー・アジア(RFA)が船舶追跡データを分析した結果、各国の商業船は、南シナ海の北部のパラセル(西沙)諸島、南部のスプラトリー(南沙)諸島周辺を通過する場合、中国の人工埋め立て地を避けていることがわかった。RFAが9月29日に報じた。

中国はこの3カ月間、米国との緊張が高まる中、南シナ海のパラセル諸島で2度の軍事演習を実施した。いずれの場合も、演習期間中は海上交通を部分的に遮断し、2回目の演習では対艦弾道ミサイルを海上に発射した。9月下旬、さらに同諸島で2つの演習を行うと発表した。これで、この地域で行われる軍事演習が4つに上る。

専門家によると、中国の海南省から3万3000平方キロメートル以上離れた海域で実施された訓練は、7月上旬と8月下旬のわずか数日間だけだったにもかかわらず、海上交通の混乱を招いた。

船舶を追跡するオンラインサービス「MarineTraffic」が収集したデータによると、2016~17年の間に石油や貨物を積んだほとんどの船舶が、中国が主権を主張するパラセル諸島を迂回していた。そのため、この地域の南東部や北西部への交通量が増加していたが、パラセルを通るより直接的なルートの方が燃料コストを削減できた。

ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのエネルギー研究所が開発した海運の可視化ツール「Shipmap」は、2012年のパラセル諸島を通過するコンテナ輸送の様子を示している。中国の軍事拠点化が明るみになる以前は、各国の船舶は、リンカーン島とウッディー島の間を通り、パラセル諸島を自由に航行していた。

世界の貿易の3分の1近くが南シナ海を通過し、約5兆ドル相当の商品を輸送している。これらの商品を運ぶ貨物船を扱う港の上位10港のうち、9港がアジアにある。

中国は、南シナ海のほぼすべてを囲う九段線は「歴史的権利」に基づいて自国領域と主張している。しかし、国際海洋法では裏付けられていない。中国は他のアジアの6つの政府(ベトナム、フィリピン、台湾、ブルネイ、マレーシア、インドネシア)と対立している。

EEZの資源搾取

いっぽう、政治的リスクに関する助言コンサルティング会社PRISMのパートナー、ヨハン・ゴット氏は、南シナ海の迂回による商業的影響は比較的小さいと述べた。ゴッド氏は、それよりも中国の強制行動の大きな脅威は、近隣諸国の排他的経済水域(EEZ)での資源採取だと指摘する。

各国は沿岸から200カイリ以内のEEZで魚や石油などの資源を利用できる。しかし、中国の主張する南シナ海の九段線は、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、インドネシアなどのEEZに影響を及ぼす。

インド太平洋安全保障問題担当の米国防総省高官デービッド・ヘルビー氏は、RFAの取材に対して、中国の拡張主義で、他国のEEZの資源開発が制限されていることを強調した。

ヘルビー氏は、9月16日にワシントンD.C.のシンクタンク、グローバル台湾研究所が開催したイベントで、「中国の海上民兵や海警局公船、場合によっては人民解放軍海軍を他国のEEZに送り込み、漁業活動や、エネルギー探査や開発を妨害している」と述べた。

米海軍は8月下旬にパラセルを通じた航行の自由化作戦を実施し、「この地域の重要な航路が自由に開かれたままであることを保証するための努力である」とした。

米国国防総省が発表した年次中国軍事力報告書によると、中国は、世界最大の艦隊を構成する海洋警備局と海軍の配備により、力とともに管轄権を主張している。

(翻訳編集・佐渡道世)

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