大紀元時報

カンボジア、米支援の海軍基地を解体 中国軍利用の疑惑 米は説明求める

2020年10月07日 13時51分
2019年7月、カンボジア政府主催のリアム基地視察ツアーに参加したジャーナリストらが、中国人民解放軍が寄贈したバスに乗り込む(GettyImages)
2019年7月、カンボジア政府主催のリアム基地視察ツアーに参加したジャーナリストらが、中国人民解放軍が寄贈したバスに乗り込む(GettyImages)

カンボジア南西部にある米国とオーストラリアが支援したリアム海軍基地が「解体」されているとの一部メディアの報道を受けて、カンボジア政府は10月5日、解体ではなく移設工事であると発表した。報道は、中国による軍基地利用が背景にあるとの疑惑を伝え、米国務省が関連する中国企業に制裁を科すという。

カンボジアの国家海上安全委員会は、工事は2017年末より前から決定していた戦略指揮本部の移設計画の一つであるとした。この機関は、米国とオーストラリアの協力で進められている「多機関の法執行を担当する業務部門」だという。

カンボジア当局の説明は、一部メディアで報じられた中国軍による港湾利用の懸念に答えるものだ。米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)は10月1日、衛星画像の分析として、カンボジア政府がシアヌークビル州にあるリアム海軍基地の施設を解体したと伝えた。解体工事は9月5~10日ごろ行われたと推測している。

しかし、この取り壊しについて、米国は説明を受けていないという。米国防総省は声明で、カンボジアに解体工事についての詳細な説明を求めており「私たちは、中国の軍事資産と人員をリアム海軍基地に投入するというカンボジア政府の計画に結び付くのではないかと懸念している」と書いている。

国防総省は2019年、リアム基地の修復工事を申し出たが、カンボジア当局はこれを説明なく拒否したという。

ウォール・ストリート・ジャーナル紙は2019年7月22日、カンボジアと中国は、基地の新たなインフラ建設支援の見返りに、中国にリアム基地の使用許可を付与する秘密協定に調印したと報じた。協定の草案を見た米当局者の話として伝えている。報道によると、中国は30年間、軍隊、武器、船舶へのアクセスを許可し、その後、10年ごとに契約は自動更新されるという。

西側諸国のアナリストは、中国がカンボジアの基地の使用権を得ることは、中国の戦略的軍事力を大幅に拡大し、インド太平洋地域のパワーバランスを変えるものだと見ている。

ロサンゼルスの政治学者であるソーパール・イアー博士は、「なぜ中国はジャングルのど真ん中に滑走路を建設しているのか」とニューヨーク・タイムズ紙の取材に答えた。博士は、中国が地域全体に軍事力を投じることができるようになるため、「状況が一変する」と述べている。

これらの報道に対してカンボジア当局は「悪意がある」「国内における中国政府の影響力に対する不安をあおるもの」として強く批判した。この懸念を払拭するために、当局は同月25日までに、政府主催でリアム基地のメディアツアーを催し、軍高官が海外メディアの駐在記者らを案内した。

しかし、ジャーナリストが乗り込んだバスは、中国人民解放軍が寄贈したものだった。さらに、バスツアーのなかで、記者らはリアム基地周辺には中国資本のマンション建設計画や開発計画を示す広告掲示を撮影した。

2019年7月、カンボジア政府主催のリアム基地視察ツアーに参加したジャーナリストは、中国語表記のあるマンション建設計画の広告ボードをカメラに収めた(GettyImages)

リアム海軍基地から65キロ北西にあるダラサコルには、中国企業が大規模空港を建設中だ。工事が進む空港の3200メートルの滑走路は、エアバスA380などの超大型旅客機でも十分に離着陸できる長さだという。また、複数の報告によると、中国民間企業が空港について99年間の賃貸契約を結んだという。

しかし、カンボジア当局は一連の中国傾斜と軍の利用についての疑惑を否定している。カンボジア国防省報道官Chhum Socheat氏は、2019年8月21日、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)の単独取材に対して、カンボジア憲法第53条に基づき、国内基地に外国軍を置くことはないとした。さらに、中国軍に利用許可を与えることは「考えもしていない」と強調した。

中国は、カンボジアのフン・セン首相にとって最も近い政治的同盟国であり、カンボジアへの多額の援助と投資を行っている。

VOA記者が、中国からカンボジアへの投資や援助の大きさ、さらには政府的影響力を考えると、中国がこの海軍基地の利用を要求すれば「ノー」と言いがたいのではと聞いた。カンボジア国防省報道官は、「カンボジアは完全に独立した主権国家だ。私たちは誰にも支配されない。投資と貿易、軍事の問題を分別しなければならない」と答えた。

カンボジアでは、中国国有の開発大手・天津優聯投資発展集団(優聯集団、ユニオン・グループ)が、38億ドル規模の賭博場などを含むリゾート開発計画・七星海休暇村プロジェクトを通じて、この地域の海岸線の多くを支配している。この開発計画は一帯一路の一部であり、軍用機も民間輸送にも使える滑走路のある空港が建設されるという。このため、中国は軍事施設建設を進めるのではないかとの憶測が強まった。

米財務省は9月、優聯集団に対する制裁を発表した。ポンペオ米国務長官は同日の声明で、「信頼できる情報」に基づいて、七星海休暇村プロジェクトは「(中国の)軍事物資の貯蔵に用いられる可能性がある」との見方を示した。

「もし事実であれば、これはカンボジアの憲法に違反し、インド太平洋地域の安定を脅かす恐れがある。カンボジアの主権と私たちの同盟国の安全にも影響を与える可能性がある」と付け加えた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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