日米同盟はインド太平洋の「平和と繁栄の礎」

2021/03/14
更新: 2021/03/14

日米安全保障条約締結以来約70年にわたり友好な関係を構築してきた日米が、在日米軍駐留経費負担に係る現行特別協定の1年間延長、首脳会談、インド太平洋地域の安定強化を目的とする二国間軍事演習により関係推進を図ることで合意した。

共同通信社が報じたところでは、2021年2月下旬に東京で開催された記者会見で、来年度の在日米軍駐留経費負担に係る現行特別協定の期限を1年延長する「改正議定書」に日米両政府が署名したと発表した茂木敏充外相は、「日米同盟の抑止力と対処力を高めるため、引き続き米側と緊密に連携していきたい」と述べている。

これが国会で承認されれば、2021年4月に始まる来年度について、日本に駐留する約5万5000人の米軍人駐留経費の日本側負担は2017億円(19億米ドル)となる。同通信社によると、日米両国政府は2022年4月1日以降の複数年度の特別協定については交渉を継続することで合意している。

ジョー・バイデン(Joe Biden)政権発足以来、1月下旬のロイド・オースティン(Lloyd Austin)米国防長官と岸信夫防衛相との電話会談を含め、米国首脳陣は就任早期の段階で諸外国首脳と会談を行っているが、同特別協定についても新政権発足後の早い時期に合意に至った。米国国防総省の発表によると、オースティン国防長官は日米同盟強化に対する米国の取り組みを再確認し、同地域の平和の重要性を強調している。

岸防衛相とオースティン国防長官はまた、日本が実効支配する東シナ海の尖閣諸島近辺における中国の攻撃的な海事活動など、インド太平洋地域の安保課題についても協議した。国防総省の発表では、同国防長官は中国が領有権を主張する尖閣諸島には日米安全保障条約第5条が適用されること、および米国が東シナ海の一方的な現状変更の試みに反対することを強調している。

米国政府の発表によると、この数日後に行われた電話会談で、バイデン大統領と菅義偉首相は両国の日米同盟を「自由で開かれたインド太平洋における平和と繁栄の礎」と表現している。 両国はオーストラリアとインドと共に通称「Quad(クワッド)」として知られる日米豪印戦略対話(4か国戦略対話)という非公式な戦略的同盟を結んでいる。これは、好戦的な中国に対応するための民主的な外交的取り決めと捉えられている。

米国国務省のネッド・プライス報道官が声明を通して発表したところでは、2021年2月中旬、日米豪印が仮想外相会談を開催し、テロ対策、偽情報対策、海上安保、で最近発生した軍事クーデターについて協議した。4か国首脳陣はまた、「航行の自由と領土保全の支援を含め、自由で開かれたインド太平洋地域の推進に向けて協力体制を強化する」ことを誓約している。

2021年2月24日付けでフォーリン・アフェアーズ誌に掲載されたチャン・チャ(Chang Che)著の記事には、日本は「自由で開かれたインド太平洋」構想を支持する主要国であり、同国は「進歩的で法治に基づく国際秩序に対する信念」を維持していると記されている。記事の中で同著者は、「インド太平洋において日本は米国とその同盟諸国が信頼できる提携国であるだけでなく、同地域の新しい自由な秩序を構築する勢力であることを実証している」と述べている。

これは日本に対する同地域の諸国の見方にも反映されている。2019年11月に実施された日本外務省に対する世論調査では、インド太平洋地域の平和と安定および国際秩序に対する貢献度を尋ねる質問に対して、ASEAN加盟10ヵ国の回答者の92%が、日本は「非常に貢献している」または「貢献している」と回答している。これは前回実施された2017年の調査のほぼ10%増となる数値である。

日米同盟により、2月には日本自衛隊(JSDF)と米軍が横須賀基地などで日米共同訓練「レジリエントシールド2021(Resilient Shield 2021)」を実施している。米インド太平洋軍(USINDOPACOM)の発表によると、コンピュータベースの演習では、弾道ミサイル防衛と両国部隊の統合運用能力の強化に焦点が当てられた。

海上保安庁と米国沿岸警備隊が小笠原諸島に近いフィリピン海で合同演習を行う数日前の2月中旬、海上自衛隊(JMSDF)と米国海軍の演習にフランス海軍が合流し、太平洋で洋上補給演習を実施している。沿岸警備隊の船舶、ヘリコプター、無人航空機(UAV)を用いて、日本海域における違法運航の外国船の阻止を前提とした演習を行っている。(写真:2021年2月、小笠原諸島近辺で演習を行う米国沿岸警備隊のカッター「キンボール(USCGC Kimball)」[左]と海上保安庁の巡視船「あきつしま」)

米国沿岸警備隊太平洋地区司令官のリンダ・フェーガン(Linda Fagan)中将は、「今回の演習により、長年にわたる日米同盟関係を再確認し、米国沿岸警備隊と海上保安庁がシームレスに連携する能力を保証することができる」とし、「両国は力を合わせて、海上における船員等の保護、破壊的な違法漁業や密輸の防止、そして自由で開かれたインド太平洋の推進に取り組んでいく」と述べている。

(Indo-Pacific Defense Forum)

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