大紀元時報

大国間で揺れ動くアフガニスタン情勢 キーポイントはタリバンの「武装解除」=中東アナリスト

2021年6月23日 14時02分
商品の穀物を整理する小売店主。6月18日、カブールにて撮影(Photo by ADEK BERRY/AFP via Getty Images)
商品の穀物を整理する小売店主。6月18日、カブールにて撮影(Photo by ADEK BERRY/AFP via Getty Images)

本稿は、インド・ニューデリーを拠点とする大紀元記者Venus Upadhayayaがアフガニスタン情勢について専門家を取材したものである。Upadhayayaはインドおよび南アジアの地政学を専門とし、情勢が目まぐるしく変化するインド・パキスタン国境地帯での取材経験を持つ。


バイデン大統領は25日にアフガニスタンのガニ大統領および国家和解高等評議会のアブドラ議長をホワイトハウスに招待し、アフガンからの米軍撤退について協議する。米政府が20日に発表した。米軍撤退期限は9月に先延ばしされたものの、現地では政府軍とタリバンの戦闘が激化している。また、ロシア中国、イラン等の周辺勢力もアフガン情勢に影響を与えうるプレイヤーであり、各国の動き方によって平和プロセスは大きく左右されうると専門家は分析している。

スコットランド在住の中東のアナリスト、ハミド・バーラミ氏は大紀元の取材に対し、アフガニスタンでの紛争はこの地域に根ざしたものであり、解決には多国間の協力が必要だと回答した。

アフガニスタンでの紛争は、その地域に深く根ざしたものだ。解決するためには、イランやパキスタン、カタールなどの国々が、これ以上タリバンに財政と武器の支援を提供することがないよう、諸外国が外交的努力をしなければならない」。アフガニスタン政府を利用してタリバンに圧力を掛けようとしても問題の解決は見込めないとの見方だ。

米軍が駐留している現在も、アフガニスタンは情勢が安定しているとは言えない地域だ。米軍という地域の調整役がなくなれば不安定性はさらに増加するとの懸念がある。バーラミ氏もこの考え方に賛同しており、アフガニスタンが「再びテロリストと麻薬の工場になる」だろうと警鐘を鳴らした。 

アフガニスタンはその歴史的背景から、国内には複数の勢力が存在する。そして米国、ロシア中国、イラン、パキスタンなどの勢力が繰り広げるパワーゲームはそれらの勢力にも影響を及ぼしている。そこで、最も強力な米国がアフガニスタンから手を引けば、国内のパワーバランスはより複雑になるだろうとバーラミ氏は考えている。

「私たちは、アメリカが太平洋で調整的な役割を果たしているのと同様に、中央アジアと西アジアでも調整役として存在していることを忘れてはならない。米国が撤退するとアフガニスタンは周辺勢力の戦場になるだろう」。

そしてイランやパキスタン、一部のアラブ諸国は、アフガニスタン内で活動するタリバンを「トロイの木馬」のように利用しているとバーラミ氏は語る。「たとえば、パキスタンはタリバンを利用して、アフガニスタンの和平プロセスでインドを孤立させている。同じように、イランはアフガニスタンにおけるサウジアラビアの立場を弱めるために同じことをしている」。

国家は往々にして、隣国の発展を警戒する。現実として、パキスタンはアフガニスタンの足を引っ張っている。「アフガニスタンの弱体化はパキスタンにとって有利だ。そしてイスラマバード(パキスタン政府)はこれを行うために尽力している」とバーラミ氏は述べた。

しかし超大国の米国といえども、パキスタンのそのような行為を制止することができない。パキスタンは中華人民共和国とも一定の関係を構築しており、米国が強硬策に出ればパキスタンはますます中国との関係を強めてしまう恐れがあるからだ。

中国アフガニスタンに興味を持つ国の一つだ。中国の「一帯一路」構想は現代版の「シルクロード」と言われており、はるか西方世界まで伸びる巨大な経済回廊は西アジア諸国を包摂する。そのうちの一つの路線は新疆ウイグル自治区のカシュガルから出発し、パキスタン沿岸まで伸びている。この路線はアフガニスタンの真横を通ることから、同国の安定は路線の安全に直結する。

現に中国はパキスタンのカラチとグワダルという極めて重要な港湾都市の権益を手中に収めている。パキスタンとカシュガルを結ぶ路線を開拓することで、中東から産出する石油を直接中国国内へと輸送することができ、「チョークポイント」であるマラッカ海峡を通る必要がなくなる。

米軍撤退と同時に、NATO軍も撤退を開始した。写真は本国に到着したドイツ軍の輸送ヘリ(Photo by Jens Schlueter/Getty Images)

このような状況下で、西側諸国はたとえアフガニスタンでの存在感を維持できないとしても、インドを立てて、地域における調整役として強化すべきだとバーラミ氏は述べた。

イスラム教を国教と定め、国外にまでその恐怖を輸出しようと試みるイランも厄介なプレイヤーだ。バーラミ氏は、イランを和平プロセスに関与させることは逆効果であり、「完全に間違っている」と説いた。逆に、和平プロセスからイラン政権を排除することで、サウジアラビアに建設的な役割を果たすよう説得することが容易になるとの見方を示した。

では理想的なシナリオとはなにか。タリバンが武器を置き、アフガニスタン国内の一つの政治勢力として国政に参加することをバーミラ氏は思い描いている。

「そうすれば、アフガニスタン人は自らの手で未来を切り開き、周辺諸国や大国と独自の外交関係を構築することができるだろう。だが、忘れてならないのは、この理想的なシナリオは、アフガニスタンで民主主義が根付いて初めて成立するということだ」。

(翻訳編集・大紀元ウェブ編集部)

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